石破茂首相は23日午後の党首討論で、ドル高是正のための「プラザ合意」があった1980年代と比較し、米国の貿易赤字に占める日本の割合は低下しているとし、投資拡大も含めて米政権に日本の現状を説明していくべきだとの認識を示した。

立憲民主党の野田佳彦代表は、日米関税協議を巡り、ドル安誘導の「第2プラザ合意」を米国が考えているなら「間違っていると言わなければならない」と主張。米国債についても、最大の保有国である日本が市場を支え続けるが、「激変が起こるとそういうことにならないかもしれない」との姿勢を示すよう促した。

これに対し、石破首相は「非常に機微な問題だ。ご示唆は承りました」と述べた。その上で、米貿易赤字に占める日本の割合が低下した理由として対米投資の拡大を挙げ、日本の努力を「はっきりと数字にして米国や世界に対して訴えていくべきことだ」とした。

日米は米ワシントンで今週開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の機会に加藤勝信財務相とベッセント財務長官との会談を行う方向だ。ベッセント氏は日本との関税交渉で為替の問題も取り上げる考えを示している。この日の発言は首相経験者でもある野田氏が米側をけん制するよう求めたのに対し、石破首相は明言を避けつつも、日米の経済関係の変化を米側に説明する方針を強調した形だ。

G20、米との信頼関係基礎に臨む

日米交渉では、石破首相は「どっちが得してどっちが損するということではなく、米国と一緒に日本はどのようにして国を発展させていくか」、さらに「いかにして世界に利益をもたらすか」という話をする必要があると述べた。G20会議でどのようなメッセージを発するかという問いには、「米国との信頼関係を基礎に置いた上で臨まなければならない」と語った。

米国は日本に対する上乗せ税率を24%に設定。その後、他国と同様に90日間の停止措置を講じているが、10%の基本税率に加え、自動車や鉄鋼、アルミニウムには25%の関税がすでに導入されている。交渉役を担う赤沢亮正再生相は月内にも2回目の対米協議を行う見通しだ。

党首討論の開催は政権発足直後の昨年10月9日以来。同月の衆院選で与党が過半数割れしてからは初めて。与野党は今国会中の4月から6月までの間、毎月1回開催することで合意している。

石破首相の他の発言

  • CPTPP事務局の日本設置、真剣に考えたい
  • 自由貿易でEUと連携する意義は極めて大きい
  • ガソリン暫定税率廃止の財源、恒久的に示さないと無責任な話だ

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