野村ホールディングス(HD)による約18億ドル(約2600億円)に上る豪マッコーリー・グループの米欧資産運用事業の買収は、日本企業による海外での買収総額を押し上げた。トランプ米大統領の関税政策に端を発する金融市場の混乱の中でも、日本企業による海外での買収意欲は引き続き強いとの見方が出ている。

ブルームバーグがまとめたデータによると、今年に入って日本企業による海外M&A(企業の合併・買収)総額は、前年同期比で約70%増の約280億ドルに達した。

「市場の変動の大きさや地政学的な緊張にもかかわらず、日本企業は引き続き海外買収に積極的だ」と法律事務所フレッシュフィールズブルックハウスデリンガーの中尾雄史マネージングパートナーは述べた。

高齢化や経済成長の鈍化により、企業が成長機会を海外に求める動きが広がっており、今年に入ってからの円高も海外でのM&Aを後押ししている。

野村HDによる今回の買収は、同社にとって過去最大の買収額となる。それでも、今年の日本企業による海外買収案件の規模としては上位3件に入らない。

ソフトバンクグループは3月、半導体設計を手がける米アンペア・コンピューティングを65億ドルで買収することで合意した。三井物産はオーストラリアの鉄鉱石プロジェクトの権益を53億ドルで取得する計画。明治安田生命保険は英金融大手リーガル・アンド・ジェネラル・グループ(L&G)から米保険事業を23億ドルで買収する。

米投資銀行BDAパートナーズのパートナー、ジェフ・アクトン氏は、トランプ大統領の関税措置の影響を相殺するため、「サプライチェーンの一部を米国に移転することに貢献するような案件への関心が高まっている」と指摘する。

一方、国内の景気後退を懸念する声も出ている。サントリーホールディングス(HD)の新浪剛史会長は22日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、トランプ大統領による関税政策の交渉が現状のままなら日本の国内総生産(GDP)に1-1.2%程度マイナスの影響があるとして「非常に懸念している」と述べた。(抜粋)

原題:Nomura Joins Japan’s Overseas Push With Biggest Deal Since 2008(抜粋)

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