イーロン・マスク氏率いる「政府効率化省(DOGE)」は、連邦機関として人工知能(AI)開発を支援する全米科学財団(NSF)の研究助成金を約1億3500万ドル(約190億円)削減する。事情に詳しい関係者とブルームバーグ・ニュースが確認した内部文書で明らかになった。

影響を受けるのは、偽情報やAIを利用したディープフェイク対策プログラムを含む現在進行中の数十の案件。DOGEのメンバー3人が先週にDEI(多様性、公平性、包摂性)関連プログラムの精査を開始していたと、関係者が匿名を条件に明らかにした。

DOGEは正式な政府機関ではないが、政府支出削減に関するホワイトハウスの取り組みを一部担う。

NSFのウェブサイトによれば、今後は偽情報対策に関する研究に助成を行わない。こうした優先順位の見直しは、1月にトランプ米大統領が署名した大統領令に従う狙いがある。大統領令では、偽情報対策が言論の自由を侵害する恐れがあると言及されている。

AIツールを利用して、詐欺や誤解につながりかねない精巧な偽画像・文章生成がますます可能になる中、今回の助成金削減で、連邦政府のAI悪用対策支援がさらに後退する恐れがある。

NSFの広報担当者はコメントを控えた。

原題:Musk’s DOGE Slashes Funding to Fight Deepfakes, Misinformation(抜粋)

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