トランプ米大統領が中国からの輸入品に高関税を課したことで、カリフォルニア州南部の貿易・経済が打撃を受ける恐れがあることが、新たな分析で分かった。この地域は全米のコンテナ貨物の3分の1を取り扱い、約200万人の雇用を支えている。

南カリフォルニア・リーダーシップ・カウンシル(SCLC)とロサンゼルス郡経済開発公社の報告書によれば、145%の対中追加関税により、米最大級のコンテナ港であるロサンゼルス港とロングビーチ港を通じて輸入される貨物量は大幅に減少する見込みだ。一方、中国が米国製品に対し125%の報復関税を課したことで、輸出が落ち込む可能性も高い。

カリフォルニア州の元知事でSCLC共同責任者を務めるグレイ・デービス氏は22日の記者会見で、「港に到着した貨物を荷下ろしする港湾労働者、鉄道やトラックで倉庫に運ぶ作業員、倉庫での保管と最終目的地への輸送を担う人々が打撃を受けるだろう」と述べた。

報告書によると、南カリフォルニア地域にとって中国は最大の貿易相手国で、ロサンゼルスとロングビーチの2港を通じた昨年の輸入額は約1300億ドル(約18兆4500億円)に上った。ロサンゼルス港湾当局者は、早ければ5月には貨物量が少なくとも10%減少し、年末まで低迷が続くと予想している。

両港は全米のコンテナ貨物の約35%を扱い、広大な物流ネットワークの一大拠点となっている。

この地域には主要な配送センターや鉄道システム、トラック輸送ルートが集中。利用する企業にはアマゾン・ドット・コム、ウォルマート、フェデックス、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)のほか、倉庫を専門とする不動産大手プロロジスが含まれる。貿易・運輸業界は域内で90万人余りを直接雇用しており、間接的に200万人近い雇用を支えている。

関税の報復合戦により、域内の輸入業者の多くは仕入れコストが2.5倍に跳ね上がる可能性に直面。企業はコスト上昇分を吸収するか、消費者に転嫁するかの選択を迫られていると、報告書は指摘している。

カリフォルニア州のニューサム知事はトランプ大統領の関税措置を巡り、大統領の権限を越えた行為で、同州をはじめとする米国の各州に打撃を与えかねないとして、政権を相手取り提訴している。

原題:Trump China Tariffs to Hit California Hub Serving Amazon, FedEx(抜粋)

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