日銀の利上げ予想にも変化

ブルームバーグエコノミクス・シニアエコノミスト 木村太郎さん:
「トランプ関税の前は、4月30日から5月1日の会合で、日銀が追加の利上げを行うと見ていましたが、その予想は取り消しました。
最新の予想では、年内に1回の利上げ(7月に0.25%)、そして2026年に、2回の利上げ(4月に0.25%、10月に0.25%)に踏み切ると予想しています。
今後ですが、2026年も春闘で高い賃上げが実現すると予想していますし、人手不足は2026年になっても中々、変わらないと思います。
また賃金を決定する経団連による春闘に向けた報告書を見てると、「分厚い中間層を作る」という言葉を使っているんですね。
私の解釈ですとこれは、国内の消費を活性化するには、過去に比べてもう少し賃上げする必要があるという結論に、経団連やマネジメントサイドが至ったということです。
トランプ大統領が関税について全然、妥協をせず、海外経済が大きく下押しされるという話になると別ですが、大きな不況に突入するという事でなければ、それなりに賃上げ基調というのは2026年も続くと見ています。
それが2026年に日銀がさらに追加の利上げを進めるドライバーになると予想します」

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【解説】
▼木村太郎
Bloomberg Economics シニアエコノミスト
全世界に約50名のエコノミスト・アナリストが在籍するBloomberg Economicsにて2023年より日本経済の分析を統括。Bloomberg入社以前は日本銀行に11年間勤務し、金融政策決定会合・展望レポートに向けた日本および世界経済の分析や、為替市場のモニタリングを担当。慶應義塾大学経済学部卒、ハーバード大学ケネディ行政大学院において修士号を取得。
【聞き手】
▼竹下隆一郎
朝日新聞を退社後、2016年から2021年6月までハフポスト日本版編集長。2021年8月にビジネス映像メディアPIVOTの創業メンバーに。2024年11月よりTBSテレビ特任執行役員、「TBS CROSS DIG with Bloomberg」のチーフコンテンツオフィサーを務める。