(ブルームバーグ):米スターバックスは、より多くの客を呼び込み、長く滞在してもらうために巨額を投じて店舗を改装してきたが、その効果はまだ表れていない。
Placer.aiのデータによると、ブライアン・ニコル最高経営責任者(CEO)が2024年9月に就任して以降、10分を超えて滞在する客の割合は減少し、2023年には40%超だったが、現在は約3分の1だ。

顧客の滞在時間を延ばすことは、ニコル氏の再建計画の柱だ。同社は顧客サービスの改善やドリンク提供の迅速化、一部店舗を当初の理念である温かく居心地の良い空間へと回帰することを掲げたが、客足は伸び悩んでいる。
シティグループのアナリスト、ジョン・タワー氏は「同社は顧客にこのブランドを『座ってくつろぐ場所』ではなく『手軽に利用できる店』として浸透させてきた」と指摘。その上で、より快適な店舗であれば、たとえコーヒーを買ってすぐ店を出る客であっても再訪を促す可能性があるとも述べた。
タワー氏は「スターバックスが望んでいるのは、より多くの人に店に足を運んでもらい、『ここはいい雰囲気の場所だ』と感じてもらうことだ」と語った。
スターバックスは座席や電源コンセントの増設、店内向けにマグカップの再導入などを含む店内改装を進めてきた。同社は北米の1万8000店超のうち、2026年度に1000店舗を改装する計画だ。
同社はコスト削減に向けて店舗改装費用も見直した。これまで1店舗あたり80万-100万ドル(約1億2200万-1億5200万円)かかっていたが、現在では15万ドル程度で改装できる店舗もあるという。以前撤去した座席や柔らかなデザイン要素も再び取り入れている。
同社の広報担当者によれば、ニューヨーク市と南カリフォルニアでは、改装した店舗で結果が出始めている。「滞在時間の延長や来店頻度の増加といった有望な結果が出ている」という。
同社はサービスの迅速化にも取り組み、ドリンクの80%を4分未満で提供している。メニューも25%削減し、フラペチーノのラインナップも見直し、一部のフードメニューを廃止した。
広報担当者はブルームバーグに対し、「革新へと道を開き、顧客が特に好む商品に集中するためにメニューを合理化した」と説明した。
スターバックスは最近、10億ドル規模の再編の一環として店舗閉鎖と人員削減を発表した。声明によれば、業績不振や老朽化した店舗の閉鎖を優先させる。特に対象となったのは、前経営陣の下で導入されたテイクアウト専用型店舗だ。これらの店舗モデルは、ニコル氏の現在のブランドビジョンと一致しない。対象となった店舗はすでに閉鎖されたか、フルサービス型店舗へ改装される予定だという。

原題:Starbucks Drinkers Are Exiting Fast, Not Lingering Over Coffee
(抜粋)
--取材協力:Jonathan Roeder.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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