半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)の四半期決算発表を控え、アナリストの楽観的見方が後退している。米国の関税措置が電子機器需要や人工知能(AI)インフラの構築に悪影響を与えるとの懸念が背景にある。

ブルームバーグの集計データによると、TSMCを担当するアナリストで買いを推奨しているのは全体の93%と、2年ぶりの低水準付近。トランプ米大統領が「解放の日」と称して関税措置を発表し世界市場を揺さぶる前には、買い推奨の割合は98%近くだった。目標株価の平均は今月約9%低下し1312台湾ドル。16日終値は855台湾ドルだった。

TSMCの1-3月(第1四半期)売上高は市場予想を上回ったが、市場関係者は同社が17日の決算発表時に、20%台半ばとしていた2025年増収率見通しを修正するか注目している。オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングは16日、関税の影響を数値化する方法は分からないと警告。AI向け半導体大手の米エヌビディアは中国向け「H20」チップに関するトランプ政権の輸出規制で多額の費用計上を見込むと明らかにした。

キャピタル・セキュリティーズは今月、TSMCの投資判断を下方修正。GFセキュリティーズは「ホールド」の投資判断でカバーを開始した。買い推奨を維持しているアナリストの一部は見通しに一段と懐疑的になっている。JPモルガン・チェースはTSMCが25年売上高見通しを引き下げると予想。ドイツ銀行はTSMCが通期見通しを完全に撤回する可能性があると指摘している。

原題:TSMC’s Tariff Risks Leave Analysts Cautious Ahead of Earnings(抜粋)

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