(ブルームバーグ):米ハーバード大学は予期せぬ衝撃に備えてバランスシートを強化してきたが、今やトランプ政権との対決という前例のない試練に直面している。
米国の大学で最も裕福な同大は、長年にわたって現金を蓄え、「ショック」に耐えられる予算を策定していると財務報告書で説明している。また同大は最高の信用格付けと530億ドル(約7兆6000億円)という全米トップ級の寄付基金を擁する。
ハーバード大が政府からの一連の要求を拒否した結果、トランプ政権のタスクフォースが22億ドルの連邦資金を凍結すると発表した際も、深刻な打撃を乗り切るのに十分な備えがあった。その後、トランプ大統領は同大が非課税資格を失う可能性があると示唆し、同大にさらなる財務リスクをもたらした。
シンクタンク、アーバン・インスティテュートの非常勤シニアフェローで高等教育の専門家サンディ・バウム氏は「少なくとも一時的に基金から追加資金を引き出すことは可能だが、それでは膨大な研究費は賄えず、連邦政府から得ている多額の資金を補うこともできない」と述べた。
寄付基金の80%超は奨学金や学資支援といった特定の用途に制限され、連邦政府からの助成金の大半が学術・科学研究に関連している。第2次世界大戦後、連邦政府は研究プロジェクトを主に大学に委託しており、現在では費用の半分以上を負担している。
ハーバード大の2024年度の収入は65億ドル、収支は4500万ドルの黒字だった。同大では、連邦資金が収入の11%を占め、エイズやがん、臓器移植の研究支援に充てられている。
ゴールドマン・サックス・グループの元高等教育機関担当バンカー、リトゥ・カルラ氏が同大の最高財務責任者(CFO)を、プライベート投資会社・ファミリーオフィスのTRBアドバイザーズ創業者、ティモシー・バラケット氏が財務担当を務める。

FHNファイナンシャルのストラテジスト、アビゲイル・ウルツ氏は、寄付基金はハーバード大が「AAA」格付けを維持するのに寄与していると分析。同大には、支出・研究プログラムの削減や短期資金調達に向けた債券発行など複数の選択肢があると語った。
さらに、同大は既に「連邦資金削減を穴埋めし、短期的に自校を守る代替策を検討している」ものの、「こうした状況が長期化すれば、問題が生じる恐れがある」と指摘した。

原題:Harvard Built a Shock-Proof Balance Sheet That Trump Now Tests(抜粋)
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