(ブルームバーグ):みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下のアセットマネジメントOneは、主に企業年金基金向けに一部資産の運用を受託する事業に乗り出す。今月から専門部署を新たに設け、年金の資産運用の高度化へのニーズに対応する。
杉原規之社長がインタビューで明らかにした。これまではファンドなど単一の運用商品の提供にとどまっていたが、株式やオルタナティブなど資産ごとに一括して運用を受託する。数百億円以上の運用資産を持つ年金基金などを対象に、まずはリターンの差が出やすい外国株式での受託を目指す。
資産運用立国に向けた取り組みを進める政府は昨年8月、年金基金などのアセットオーナーに対して、受託者の最善の利益を追求し、運用方法の適切な選択を行うことなどを共通原則として定めたアセットオーナー・プリンシプルを策定した。昨年度の下期以降、運用を委託したいとの引き合いや相談が増えているといい、こうした需要を取り込む。
今月1日付で既存部署の体制を強化した上で、約15人規模で「ポートフォリオソリューション部」を立ち上げた。昨年、外資系の運用会社などから採用した2人の社員や第一生命保険からの出向者も含まれている。今後も必要に応じて増強する。
アセマネOneには議決権ベースで49%を第一生命ホールディングスが出資している。資産管理業務などで年金基金と長年取引のあるみずほFGや第一生命との連携も強化する。杉原社長は「課題解決に向けたいろいろな提案ができる立場にいるのが一番の強み」と語った。

日本の企業年金の大部分を占める確定給付型の資産残高は昨年3月末時点で約86兆円。年金基金の間では分散投資の観点から、資産ごとでも複数の運用機関を活用しているケースが多い。
格付投資情報センター(R&I)の調査によると、約120の企業年金の2024年度第4四半期の運用利回りはマイナス1.46%と約3年ぶりのマイナス幅となった。年度ベースではプラス0.56%と2年連続のプラスを確保したが、トランプ米大統領の関税政策をめぐり、世界的な景気後退懸念が強まっている。今後、運用成績が悪化すれば退職給付費用が増加し、企業業績の悪化要因にもなる。
年金基金が投資戦略の判断も含めて資産運用を外部機関に委託するのはアウトソースド・チーフ・インベストメント・オフィサー(OCIO)事業と呼ばれ、欧米を中心に拡大してきた。昨年9月にはゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが国内の年金基金向けにOCIO事業を開始すると発表しており、外資系企業が日本での事業拡大を狙う動きも出ている。
(最終段落に外資系金融機関の動きについて追加します。更新前の記事は6段落目の日付を訂正済みです)
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