(ブルームバーグ):カナダのカーニー首相は15日、自動車メーカーに対し、カナダ国内での生産を継続することを条件に、米国で生産された乗用車やトラックを輸入する際の関税を免除すると発表した。一方、ホンダはカナダから生産を移管する計画はないと明らかにした。
これに先立ち、日本経済新聞は、ホンダが主力車種の生産をメキシコとカナダから米国に移管する検討に入ったと報じた。米国の販売台数の9割を現地生産でまかなえるようにするという。
同社はオンタリオ州アリストンの工場で「CR-V」と「シビック」を生産する。昨年にはカナダ国内で電気自動車(EV)のサプライチェーンを構築する150億カナダ・ドル(約1兆5400億円)規模の長期計画を発表した。
ホンダの広報担当者は電子メールで「予見可能な将来において、工場はフル稼働で操業を続け、現時点で変更は検討されていない」とコメントした。
カナダのアナンド産業相の事務所が発表した声明によれば、同相は15日にホンダのカナダ法人のトップと会談する予定。同事務所は電子メールで、「ホンダとは緊密に連絡を取り合っている。同社からは、カナダの事業に影響するような生産に関する決定は行われておらず、現時点で検討もされていないとの説明を受けている」と述べた。
生産継続条件に関税免除
カーニー首相は記者会見で、「カナダで生産、雇用、投資を続ける限り、われわれの報復関税は適用されない」と述べた。ただカナダ財務省は発表資料で、メーカーがカナダでの生産や投資を削減した場合は、関税なしでの輸入が認められる車両の数が減少すると説明している。
今回の関税免除の背景には、トランプ米政権の自動車関税への対応として、メーカー各社がカナダから生産を撤退させるのではないかとの懸念が高まっていることがある。
ゼネラル・モーターズ(GM)やステランティスなどはオンタリオ州に組み立て工場を持つものの、なお大量の車両を米国からカナダへと輸出している。
原題:Canada Scraps Tariffs for Automakers That Keep Plants Going (2)(抜粋)
--取材協力:Melissa Shin.
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