(ブルームバーグ):中国は1-3月(第1四半期)に堅調な経済成長を維持したもようだ。ただ、トランプ米大統領が4月に入り新たな関税措置を発表し、中国は追加刺激策を講じなければ5%前後の成長目標達成が危うい状況となっている。
エコノミストのコンセンサス予想によると、16日に発表される1-3月国内総生産(GDP)は、前年同期比5.2%増と見込まれている。これは、政府の広範な景気刺激策を背景に2024年後半に始まった景気回復が続いたことを意味する。
昨年10-12月(第4四半期)の5.4%成長からはやや鈍化するものの、不動産市場の低迷や消費者心理の弱さを考慮すると底堅さが示されそうだ。

また、同日発表される3月の小売売上高は、政府補助金が寄与し、持ち直しが示される見通し。工業生産と投資全般も安定した伸びが予想されている。
トランプ氏による関税引き上げで多くの中国製品に対する関税率は少なくとも計145%に達しており、中国の輸出に打撃を与え、今年の経済成長率を数ポイント押し下げる見込みだ。
モルガン・スタンレーの邢自強氏らエコノミストは12日付のリポートで、「関税引き上げを回避するための二国間交渉が近く行われる可能性は低いことを考えると、4-6月(第2四半期)以降、経済成長は急速に悪化する公算が大きい」との見方を示した。

16日の統計発表後は、景気刺激策が打ち出される兆しに関心が集まる見通し。これまでのところ、中国当局は関税ショックに対処するための政策余地と手段は十分にあると示唆しただけで、具体的な対策を明らかにしていない。
銀行が融資や投資に回せる資金を増やすため、中国人民銀行(中央銀行)は近く政策金利と市中銀行の預金準備率を引き下げるとの期待が高まっている。ただ、経済データが明確に景気減速を示すか、市場で相場急落がなければ、大規模な政策支援が行われない可能性もある。
モルガン・スタンレーは、追加刺激策は年後半まで実施されないかもしれないと予想。そうなれば企業や家計の信頼感回復には手遅れで、消費・投資の低迷だけでなく、デフレの長期化につながりかねない。
一方、UBSは今年の中国成長率予測を3.4%と、主要銀行で最低の水準に引き下げた。米国の関税で輸出が打撃を受けるとみている。従来見通しは4%だった。
ゴールドマン・サックス・グループやシティグループなども最近、中国の成長見通しを下方修正しており、多くのエコノミストは中国が今年、政府の掲げる5%前後の成長目標を達成できるかどうか疑問視している。
国家統計局は1-3月および3月の経済指標を現地時間16日午前10時(日本時間同11時)に発表する。各指標の予想は以下の通り。
- 3月の小売売上高は前年同月比4.3%増(1-2月は前年同期比4%増)。新型コロナウイルス禍前の水準にはまだ及ばないものの、昨年10月以来の高水準となる
- 3月の工業生産は前年同月比5.9%増(1-2月と同じ)
- 1-3月の固定資産投資は前年同期比4.1%増(1-2月と同じ)

原題:China’s Economy Likely Grew 5.2% in Months Before Big US Tariffs、China Gets Worst 2025 Growth Forecast Yet With Downgrade by UBS(抜粋)
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