米国の関税政策を巡る混乱で、日本企業の資金調達に遅れが生じている。15日までに東京電力パワーグリッドなど国内企業6社が社債発行を延期または中止することを決めた。

東電PGは社債3本の条件決定時期を、当初目指していた4月中旬から最速5月中旬に延期した。ヤマハ発動機は2本立て社債の発行を見送ることにした。それぞれの主幹事によると、両社とも市場環境を踏まえた決定だという。

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4月に入り、国内企業による起債計画の見直しが相次いでいる。トランプ米大統領の関税政策を受けて世界の金融市場が動揺し、日本銀行の追加利上げにも先行き不透明感が浮上。値決めの基準となる国債利回りが大きく変動し、社債市場に悪影響が及んでいる。

アサヒグループホールディングスは8日、総額500億円程度の調達を目指して今月上旬に予定していた起債を延期。サントリーホールディングスと日清食品ホールディングス、NIPPON EXPRESSホールディングスは発行を見送った。

大和証券デット・キャピタルマーケット第3部の大津大副部長は、トランプ関税後「投資家の泉が小さくなっている」とし、「見送りが発表された案件以外にも水面下で動いていてなくなったものもある」と明かした。また、金利の変動で「長いマーケティング期間がリスクになってきた」とし、期間短縮の必要性を指摘した。

ソフトバンクグループが過去最大の個人向け社債の発行を計画するなど、目先の起債を引き続き予定する企業も複数ある。市場は二極化の様相を呈している。

東電PGの広報担当者は延期の背景について、主幹事証券などを通じ投資家需要をヒアリングしたが米国の相互関税政策で市場環境が大幅に変動、需要や市場環境を総合的に判断し決めたと述べた。

(第7段落に東電PGのコメントを入れました)

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