ソフトバンクグループが機関投資家向け(ホールセール)に100億円程度の社債を発行する計画だ。同社の社債として10年超ぶりの小規模となる可能性があり、人工知能(AI)投資で巨額資金を必要とする同社が個人投資家に頼る状況が鮮明になりつつある。

ソフトバンクGは5年債の発行条件を18日に決める。同日は個人向け(リテール)にも同社として過去最大となる6000億円の起債を予定している。主幹事の野村証券によると機関投資家向けの発行額は増える可能性もあるが、ブルームバーグのデータでは、100億円規模にとどまればソフトバンクGの社債として2012年9月以来の小規模となる。

ソフトバンクグループ本社(東京)

ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のクレジットアナリスト、シャロン・チェン氏はメモで、ソフトバンクGがAIへの投資を強化する中、機関投資家向けの発行規模には「資金調達コストの上昇が影響している可能性がある」との見方を示した。

トランプ米大統領の関税政策の不透明感から金融市場が混乱し、債券相場のボラティリティーが高まり発行体の資金調達コストが上昇。国内では起債を取りやめたり延期したりする企業が相次いでいる。国債利回りに上乗せ金利(スプレッド)を加算して決まる発行利率が読みづらく、投資家も社債に手を出しにくい状況が続く。

ソフトバンクGはリテール債について、利率の仮条件を3-3.6%に設定している。BIのチェン氏は既発債の流通実勢から考えて、発行利率は仮条件を上回る可能性があるとみている。

ソフトバンクG広報室は「大型投資公表とボラタイルな市場環境を受けて、適正プライスを追求するためにあえてホールセール債を加え、慎重なリテール債の運営を行っている」とし、ホールセール債については金額を追求していないと電子メールで説明した。

調達資金は、リテール債と外債の償還資金や傘下の英半導体設計会社アーム・ホールディングス株取得の際の未払い金に充当する。

(第6段落以降にソフトバンクGのコメントと資金使途を追記します)

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