(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)は、あと2回利下げを実施する可能性が高いが、最終的にはトランプ米大統領の動き次第となるだろう。ブルームバーグの調査に答えたエコノミストらがこうした見通しを示した。
調査回答者は、4月と6月に0.25ポイントずつ連続して利下げが行われた後、中銀預金金利は少なくとも2026年末まで2%で据え置かれると予想している。同時に、米国の政策が大きなリスクをもたらし、ユーロ圏の経済成長を脅かすことを警戒している。

エコノミストらは世界秩序を再編しようとするトランプ氏の不安定な取り組みを主なリスク要因に挙げている。
AFSインタレストのアナリスト、アルン・ペティメザス氏(アムステルダム在勤)は「金融政策は今や事実上トランプ氏によって決定されている」とし、「ECBは関税についてさらに明確になるのをただ待つことになるだろう」と述べた。
今のところ、トランプ氏が先に発表した関税のほとんどの部分を90日間保留し、欧州連合(EU)も対抗措置を延期したことで、不安定な停戦状態となっている。トランプ氏と中国の関税を巡る対立はエスカレートし続けている。
こうした状況下でECBにとって最大の課題は「トランプ氏の気まぐれに対して、何をすべきかが分かっているように見せなければならない」ことだと、アーギル・ヨーロッパのアラステア・ウィンター氏は述べた。
ノムラ・インターナショナルのアンジェイ・シュチェパニアク氏は4月会合で予想される利下げについて、 「トランプ氏が決定を促した」と説明。「今問われているのは、ECBが経済を支えるために中立金利を下回らなければならないかどうかだ」との見方を示した。

回答者の過半数は、7-9月(第3四半期)までに政策金利が緩和的な領域に入るとみている。 成長を抑制も刺激もしない水準を2%と考える回答者は半数で、ほぼ同数が中立金利はそれを上回る水準だとの考えを示した。
インフレ率がECBの予測通りに低下し続けるかどうかについても、回答者の意見は割れた。目標値を上回ることと下回ることのどちらが現時点でより大きなリスクであるかについて、回答はほぼ半々に分かれた。
原題:ECB Seen Cutting Rate Twice in Policy Beholden to Trump’s Whims(抜粋)
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