(ブルームバーグ):米国の関税を受けて安全資産への需要が高まり、市場参加者が日本銀行の政策見通しを再考する中、ヘッジファンドやアセットマネジャーが円に対する強気ポジションを拡大している。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、レバレッジファンドの円買いポジションは8日までの1週間に2021年1月以来の大きさとなり、アセットマネジャーはデータを確認できる06年以降で最高となった。円は先週、対ドルで2.3%上昇し、11日には昨年9月以来の高値を付けた。
トランプ米大統領が始めた貿易戦争が世界経済に打撃を与えると懸念される中、円は主要通貨の間で対ドルのパフォーマンスが最も高い通貨の一つとなっている。投機筋はドル売りに転じ、ドルのショート(売り)ポジションは昨年10月以来の水準になった。
バークレイズの通貨ストラテジスト、スカイラー・モンゴメリー・コーニング氏は「リスク資産が低迷し、円のような安全資産が恩恵を受ける環境だ」と話す。「日銀が利上げを実施し、通貨高を志向する政策バイアスがあると思われる」ことから、円は「国内的な観点からも魅力的だ」とも指摘した。
日銀の植田和男総裁は先週、関税による影響に警戒感を示す一方で、経済見通しが実現すれば日銀は金利を引き上げると改めて表明した。それでもオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、トランプ氏の関税発表が世界市場を混乱させる前の今月初旬に確実視されていた年内の利上げの可能性は4割程度に低下している。
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