世界の金融市場が大荒れの展開となる中、トランプ米大統領が大半の国に対する上乗せ関税を一時停止すると発表して株価が急騰する前に、一部の超富裕層は主な上場資産への投資を増やしていたことが分かった。

スウェーデンのファストファッション企業ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)の創業者一族であるパーション家は、トランプ氏の関税政策が市場に大打撃を与えた中、自社株保有を繰り返し増やした。規制当局への提出書類によると、全体で約7億7600万クローナ(約114億円)を投資した。

カルロス・スリム氏

カナダの非鉄金属会社ルンディン・マイニングの創業者一族も4月3日に同社の株式を約2270万カナダ・ドル(約24億円)相当買い増した。メキシコ最大の富豪カルロス・スリム氏は同日、エネルギー価格が下落したのを受け、米石油精製会社PBFエナジーの株式230万米ドル(約3億3700万円)相当の購入に乗り出した。

また、鉱山会社大手グレンコアの筆頭株主で前最高経営責任者(CEO)のアイバン・グラゼンバーグ氏は、株価急落後に10年ぶりに保有株を増やした。

ブルームバーグ・ビリオネア指数で見て、総額約1000億米ドルの純資産を持つこれら富豪の行動は、トランプ氏が米国の関税率を100年強で最高の水準に引き上げたことを受け、投資の好機と受け止めたシグナルと言えそうだ。

トランプ氏が「解放の日」と呼んだ2日の発表を受け、これらの企業の株価は軒並み下落したが、9日の欧州市場取引終了後の上乗せ関税一時停止発表を受け、PBFエナジーとルンディン・マイニングの株価は急反発した。

原題:Billionaires Bought Their Own Shares Ahead of Fresh Market Surge(抜粋)

--取材協力:Charles Daly.

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