(ブルームバーグ):ファーストリテイリングは10日、今期(2025年8月期)の営業利益予想を従来の5300億円から5450億円に上方修正した。米トランプ大統領が進める上乗せ関税の影響は、在庫で対応できる下期までは限定的とする一方、粗利益率の低下は避けられない見通しだ。

発表資料によると、上方修正は主に24年9月-25年2月期の進捗を反映したためだ。上期の国内ユニクロ事業は、気温に合わせて戦略的に商品とマーケティングを展開し、通年商品や防寒衣料を中心に販売が好調だった。
海外ユニクロ事業も、東南アジア・インド・豪州地区や北米、欧州などで大幅な増収増益となった。同事業は下期も好調に推移するとしている。
好評価
アナリストからは好業績を評価する声が出ている。野村証券の山岡久紘アナリストは10日付リポートで、業績進捗は順調でややポジティブと指摘。外部環境に不透明感はあるが、海外ユニクロ事業を軸とした業績拡大続くと予想した。
11日の東京株式市場では、日経平均株価が一時5%超下落する展開となる中、採用銘柄で影響力の大きいファストリ株も売られ、一時前日比5.2%安の4万4080円を付けた。
2-3%の影響
米国の追加関税の影響について、2日に発表された税率がすべて適用され、下期に商品価格の値上げを行わないと仮定した場合の試算を公表。グループの下期事業利益に対して約2-3%のインパクトがあるとした。
トランプ政権は5日、米国への全輸出国に基本税率10%の関税を賦課する措置を発動した。9日には約60カ国・地域に上乗せ税率を適用し、アパレルの工場が多いベトナムは46%に、バングラデシュは37%に設定された。ただ上乗せ税率は発動から半日足らずで90日間の停止となるなど混乱が続いている。
ファストリは前提が変わる場合は、業績見通しを変更する可能性があるとしている。
決算会見に登壇した柳井正会長は、米国の関税政策について、国際情勢を鑑みると「続かないと思う」と指摘。米国が孤立する要因になるほか、関税合戦の継続は途上国にとって大災害になると述べた。
一方、米国が国ごとに税率を変える手法については、「生産地はいくらでも変更できる」として想定するほどの効果にならないとの考えを示した。仮に関税の影響があったとしても、28年8月期をめどととする売上高5兆円やその先の10兆円の目標は達成可能だと自信を示した。
トランプ関税のファストリ業績への影響については、UBS証券のアナリストの風早隆弘氏が7日付メモで、本格化する26年8月期でも、事業利益に対する関税コストの影響は6%にとどまるとの試算を出している。
同氏は、輸入依存が大きい米国の衣料品市場において、同業他社も同じ状況にあると指摘。むしろ市場シェアが0.5%に満たない「ユニクロ」が、関税コストの影響を織り込んだ後に再評価され、中期的に事業機会が広がるかが注目点になるとする。
中国と欧州
一方、前四半期に続いて第2四半期は中国大陸の販売が振るわなかった。市場全体で消費意欲が低下していることに加え、過去に比べて地域間の気温差が激しい中、各地のニーズに合った商品構成への対応が不十分だったと分析している。同地域のテコ入れは今後の課題になりそうだ。
欧州事業については、下期も好調が持続し、大幅な増収増益を見込んでいる。決算と同時に、欧州事業の中期的な拡大に向けて戦略投資や資金管理を行うため、英国の完全子会社に約650億円の増資を決めたと発表した。
同社が発表した24年12月-2月期(第2四半期)の営業利益は、前年同期比33%増の1467億円と、市場予想の1253億円を大きく上回った。好調な業績を背景に、今期の年間配当予想については、従来の1株当たり450円を480円に修正した。
(アナリストの分析や株価の動きを追加しました)
--取材協力:吉田昂.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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