(ブルームバーグ):トランプ米大統領による上乗せ関税の90日間停止措置に伴い、9日の株式相場は急伸した。ただ米企業は、貿易戦争がもたらした混乱を受けリセッション(景気後退)に既に備え始めている。
デルタ航空やウォルマートなどの経営首脳は、需要を圧迫して先行きの予測を困難にする悲観ムードの広がりに警戒感を示している。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は9日、景気悪化に伴い債務不履行(デフォルト)が増えそうだと指摘。また自動車メーカーは、関税の影響を恐れる消費者に対応し、値引きを提供したり価格据え置きを打ち出したりしている。
今の不安感を象徴するのが、デルタのエド・バスティアンCEOの発言だ。
米国がリセッションに向かっているとは考えていないと先月言及したことを巡り、同氏はCNBCのインタビューで、状況が変わったと認め「われわれはリセッションに突入するかのような行動を取っている」と語った。
トランプ氏は、経済成長促進や米経済強化を掲げ大統領に就任した。だが現実には、市場やビジネスに混乱を巻き起こしている。
同氏は9日、米国に報復措置を講じていない日本などの国・地域に対して、高水準の上乗せ関税を90日間停止することを承認したと明らかにした。一方、中国に対しては関税率を125%に引き上げた。世界56カ国と欧州連合(EU)に対する高水準の関税が発動された約13時間後というタイミングでの方針転換となった。
どの国が停止の対象となるかすぐには明らかにならなかったが、トランプ氏の発表を受け株式相場は急伸した。
ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは、今回の発表を受け米経済のリセッション(景気後退)予測を撤回している。
だがオレゴン州のアパレル企業、パロマ・クロージングの共同創業者、マイク・ローチ氏は、「リセッションは既に始まっている」と指摘。売上高は前年比11%減となり、3種類の値引きを同時に実施し、夏の採用削減も検討しているという。
上乗せ関税の一時停止について「今日に関しては良いことだ。相場は上がるだろう」とコメントする一方、「現実として、われわれは依然として非常に不確実な環境に置かれている」と語っている。
原題:CEOs Gird for Recession Even After Tariff Reprieve Boosts Stocks(抜粋)
--取材協力:Jeannette Neumann、Josh Eidelson、Irene Garcia Perez、Jonnelle Marte、Gabrielle Coppola、Ryan Vlastelica、Lily Meier、Eliza Ronalds-Hannon.
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