(ブルームバーグ):セブン&アイ・ホールディングスは9日、6000億円を上限とする自己株式の取得を発表した。今期(2026年2月期)の年間配当も1株あたり10円増の50円を計画し、株主還元の強化をアピールする。ただ、落ち込んだ業績の回復に向けては道半ばだ。
取得期間は10日から26年2月28日まで。発行済み株式総数(自己株式を除く)に対する割合は15.4%。30年度までに予定する総額2兆円の自己株式取得の一環で、27年2月期以降は一定程度の割合で、残る1.4兆円分も取得する。
会見で丸山好道最高財務責任者(CFO)は「資本効率に重点を置きながら財務規律を厳格化した上で企業価値の向上に取り組みたい」と述べた。
主力の日米コンビニ事業の不振でセブンの株価は低迷が続き、昨夏にはカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたことが明らかになった。買収額は提案前の株価を大幅に上回っており、セブンがクシュタールの傘下入りでなく自社での成長を望む場合には企業価値の向上が不可欠な状況だ。
ただ今期の業績見通しも芳しくない。同日発表した通期の営業利益は前期比0.7%増の4240億円の計画で、ブルームバーグが集計したアナリスト16人の予想平均である4596億円を下回った。
国内と米国のコンビニ事業は営業増益の見通しだが、トランプ政権の関税や移民政策による消費マインドの低下を受け、米国事業で既存店の売上高成長率をマイナスにするなど重要業績評価指標(KPI)を下方修正した。
定時株主総会後に新社長に就く予定のスティーブン・デイカス取締役は業績回復について、極めて自信を持っていると述べた。自社の強みをいかして戦略を実行すれば、「素晴らしい結果がついてくる」との見方を示した。
セブンは今期を最終年度とする経営計画の目標の達成が難しい情勢だが、デイカス氏は今年の夏頃に新たな中期経営計画を公表する意向も明らかにした。
生鮮食品を扱うなどスーパーストアの強みを取り入れた実験店「SIPストア」で効果の高かったレジ周りの惣菜に注力する国内での施策や、米国でのオリジナル商品の強化が実を結ぶかに注目が集まる。
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