セブン&アイ・ホールディングスは9日午後に2025年2月期の通期決算を公表する。5月下旬に就任予定のスティーブン・デイカス次期社長が登壇する予定で、不振が続く北米コンビニ事業の改善や企業価値の向上に向けた施策を打ち出せるかが注目される。

デイカス氏は社外取締役の筆頭から経営トップへと異動する。正式には5月27日の株主総会の承認を経て就任する予定だ。3月にはブルームバーグのインタビューに、国内コンビニの品質を輸出することで海外事業の拡大に注力する方針を明らかにした。

社長交代が発表された同月の会見では2030年度までに計2兆円の自社株買いによる還元策を実施すると公表。北米コンビニ事業を運営するセブンーイレブン・インク(SEI)を新規株式公開(IPO)して財源に充てる。ただ、市場を意識する半面、投資家からは成長戦略に乏しいとの声が挙がる。

セブンはカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールからの買収提案について検討を進め、同時並行で自力成長を模索する方針を掲げる。デイカス氏がコンビニ事業の成長をいかに描き、26年2月期の業績を見通すかに関心が集まりそうだ。

経営計画の着地

セブンは投資家向け説明会で30年度にグローバルで30兆円の売上を目指すなどの目標を明らかにしているが、足下で進む26年2月期までの経営計画の達成は危うい。

自己資本利益率(ROE)は11.5%以上を目標とするが、24年2月期時点では6.2%にとどまる。

特にSEIは物価高で低所得者層の買い控えが続き、未だ回復への出口が見えない。SEIの営業利益は24年7-9月(第3四半期)に前年同期比で約26%減少した。

24年1-9月の店舗当たりの1日の平均販売額(ガソリンを除く)は5698ドル(約84万円)で、25年度に約6360ドル(約94万円)と定めた目標に遠く及ばない。

デイカス氏にとって今期は、現在の経営計画の振り返りや未達成分野の原因分析を進めつつ、経営トップとして次の目標を定める1年になる。

一方、国内コンビニは昨秋導入した低価格戦略で既存店の売上や客数に改善が見られる半面、客単価が上向かない状態が続いている。今後は温かい状態で提供されるレジ周りの食品に注力していく方針だ。

ブルームバーグが集計した24年12-25年2月期(第4四半期)連結営業利益の予想平均は前年同期比24%減の947億円となっている。

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