世界中の市場でパニックが広がる中、各国・地域の首脳らはこの週末、トランプ米大統領に対して自国の関税を引き下げると申し出た。

しかし問題は、トランプ氏が具体的に何を受け入れ可能と考えるのかが明確でない点、あるいはそもそもディールを望んでいるのかさえ分からない点にある。同氏は6日夜、記者団に対し、いかなる合意も二国間の貿易赤字解消を伴うことが必要になるだろうと述べ、ハードルを高く設定した。

「私にとって赤字は損失だ」。大統領専用機エアフォースワンの機内でトランプ氏は記者団にこう述べ、「黒字にするか、最悪でも収支を均衡させるつもりだ」と語った。

トランプ氏の要求が明確さを欠いていることが、フラストレーションを増大させている。同氏が「解放の日」と称して世界に課した関税措置のうち、上乗せ税率は9日に適用される。

相互関税でなく貿易赤字に応じて関税率が設定されることになるなら、各国政府は打撃を避けるために具体的に何ができるのか見当が付かなくなる。

ホワイトハウス報道官にコメントを求めたが、現時点で返答はない。

46%の高い関税率を課されたベトナムは、米国からの輸入品に対する全ての関税を撤廃すると提案した。しかし、トランプ政権のナバロ上級顧問(貿易・製造業担当)は6日、それでは十分でないとして拒否した。

こうした中で注目を集めているのは、7日に行われるトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相の会談だ。イスラエルは残っている対米関税全てを撤廃すると表明したにもかかわらず、17%の関税を課された。

両国の間で何らかの取引がまとまれば、他国・地域にとっては同様の合意を得るためのモデルケースとなり得る。あるいは少なくとも、どういった条件なら米国が受け入れ可能かが幾分理解しやすくなるかもしれない。トランプ氏の目指す地点が不明瞭な中で大幅に下落している世界の株式相場にも、一定の安心感を与える可能性がある。

ヒンリッヒ財団で通商政策責任者を務めるデボラ・エルムズ氏は、海外の全ての政府にとって、何をしてもトランプ氏の関税計算式が導く結果を変えられないことが問題だと指摘。

「全てを満たすことは文字通り不可能な、全く首尾一貫しない要求をわれわれは突き付けられている」と述べた。

原題:Frustrated World Leaders Wonder If Trump Even Wants a Deal (1)(抜粋)

--取材協力:Shruti Srivastava、Soo-Hyang Choi、Francesca Stevens、野原良明、横山恵利香、Yian Lee、Ben Westcott.

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