英国の金融業界で働く女性は、男性の同僚に比べ、平均しておよそ20%収入が少ない。企業はDEI(多様性・公平性・包摂性)計画を通じて公平な職場環境をつくり出すと表明しているが、性別による報酬格差の根強さが浮き彫りになっている。

政府データをブルームバーグ・ニュースが分析したところによれば、英国で金融・保険サービスに従事する女性は2024年、男性が稼ぐ1ポンドに対して約78ペンスの収入を得るにとどまった。金融業界でも高収入で知られる投資銀行では、特にこうした傾向が強い。

英国に上場する上位5行の中で、HSBC銀行は男女間の報酬格差が最も大きく、約41%の差がある。同5行のうち格差が昨年拡大したのは、HSBCとスタンダードチャータードのみだ。

最も改善させたのはバークレイズで、格差が約4ポイント縮小して39%となった。

上位5行で見ると、女性の収入は同僚の男性が稼ぐ1ポンドに対して平均67ペンスだった。

 

米銀の投資銀行部門のロンドン拠点では、その差はさらに大きい。最新データによれば、JPモルガン・セキュリティーズの報酬格差は48%、モルガン・スタンレー・アンド・カンパニー・インターナショナルは46%。ゴールドマン・サックス・インターナショナルは最も大きく、50.4%となっている。

ゴールドマンの広報担当者は「当社では同じ労働に対して、男女に同じ報酬を支払っている」とコメント。「英国の男女間の賃金格差報告書はその点を評価していないが、これは当社の成果主義文化の根幹だ。それが多様で優秀な人材を引き付け、確保し続けることを可能にしている」と述べた。モルガン・スタンレーとJPモルガンはコメントを控えた。

 

英国では2018年に男女間の賃金格差に関する報告が義務付けられた。それ以降、企業は全てのキャリア段階において女性を採用・確保し、昇進させるための取り組みを数多く進めてきたが、進展ペースは依然として鈍い。

トランプ米大統領が反DEI姿勢を示す中、賃金の平等を訴える人たちが懸念しているのは、格差が逆に拡大する展開だ。ウォール街の一部銀行は、既にDEIプログラムを後退させている。

 

HSBCとバークレイズ、ナットウエスト、スタンダードチャータードはいずれもコメント要請に応じなかった。ロイズは男女間の報酬格差を認めた。

英政府は従業員250人以上の企業に対し、毎年4月4日までに男女間賃金格差に関する報告を行うよう義務付けている。

 

原題:Women in UK Finance Still Earn a Fifth Less Than Men (1)(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.