2日の日本市場は東証株価指数(TOPIX)が反落。トランプ米政権が発表する予定の相互関税への警戒から売りが優勢だった。債券はリスク回避の買いで超長期債を中心に上昇(利回りは低下)。円相場は1ドル=149円台後半に小幅下落した。

株式市場では三菱UFJフィナンシャル・グループなど大手銀行やソニーグループといった主力株に加え、医薬品などのディフェンシブ銘柄、商社株の下げが目立った。

みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは、関税発表を前に警戒感が強まっていると指摘。投資家はトランプ氏の政策が市場に悪影響を及ぼす可能性を予想して、保有してきた株式のポジションを解消していると述べた。

トランプ米大統領は米東部時間2日午後4時(日本時間3日午前5時)からホワイトハウスのローズガーデンで開催されるイベントで、貿易相手国に対する新たな関税措置を発表する見通し。日本銀行の植田和男総裁は衆院財務金融委員会で、米関税政策が各国の貿易活動に大きな影響を及ぼす可能性もあるとの認識を示した。

株式

東京株式相場は上昇して始まった後、売りに押されTOPIXが下落に転じた。

銀行株は日銀の利上げによる収益押し上げ期待から上昇してきたため、特に売り圧力を受けやすく、TOPIX銀行業指数は一時2.3%下落。前日に上昇した医薬品や商社の株価も軟調だった。

3月の百貨店売上高の減少を受けて、三越伊勢丹ホールディングス株やJ.フロントリテイリング株なども下落。セゾン投信の瀬下哲雄マルチマネジャー運用部長は、関税政策を受けて米国の消費者の購買行動にも影響が出ており、インバウンドの先行きに懸念があると述べた。

一方、米国でハイテク株が上昇したことを受け、東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体関連銘柄が高く、日経平均を支えた。新型ゲーム機「スイッチ2」の発表を前に任天堂のほか、コナミグループやディー・エヌ・エー、カプコンなどのゲーム関連株も堅調だった。

債券

債券相場は超長期債を中心に上昇。朝方は下げる場面もあったが、株価が軟調に推移したこともあり、リスク回避の買いが優勢になった。日銀による定例の国債買い入れオペも支えになった。引けにかけて超長期債や先物が一段高となった。

三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「関税政策の発表を控え、様子見モードの中でもリスク回避姿勢から債券買いが入った」と話した。超長期債は「売買高が少ない中で、一部の投資家の買いにより大きく上昇した」と言う。

稲留氏は3日に行われる10年債入札について「利回りが既発債ベースで1.5%を下回ると水準的に物足りないと思っている投資家は多く、ちょっと苦しいかもしれない」とみている。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

東京外国為替市場の円相場は1ドル=149円台後半を中心に軟調推移。ベッセント米財務長官が関税について、各国が税率を上限から引き下げる措置を講じられると発言したと伝わり、やや売り戻された。

外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、米財務長官が相互関税に柔軟性があることを示唆し、相場が若干反応したと指摘。その上で、米経済指標がスタグフレーションの懸念を示しており「単純にドル買いともいかない」と述べた。

一方、東海東京インテリジェンス・ラボの柴田秀樹金利・為替シニアストラテジストは、相互関税発表を受けて株安とドル安・円高が進む可能性はあるが、不透明感の払拭に加えて関税率引き下げで交渉の余地があることを考えると、株とドル・円は「セリングクライマックスになる可能性がある」と指摘。徐々に円安に向かうと予想している。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:船曳三郎、横山桃花、アリス・フレンチ.

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