野村ホールディングス(HD)の中国事業を手がける現地の合弁証券会社で、長く副社長を務めてきた蔡峄青氏が退社したことが分かった。数年にわたり損失を計上している同証では、幹部社員の交代が続いている。

登記簿によると蔡氏は、野村が中国資本との合弁で上海に設立した野村東方国際証券の社員ではなくなった。記録によれば、同氏はまだ他の証券会社に入社していない。

野村HDの広報担当者は、個別の人事情報についてはコメントを差し控えるとしている。2日時点で野村東方国際のウェブサイトに掲載されている上級管理職の一覧に、蔡氏の正式な役職である副総経理の記載はなかった。

野村のロゴマーク

野村東方国際は、富裕層向けの資産管理業務に重点を置く現地証券として2019年末に設立された。しかし、中国経済の減速や米国との貿易摩擦に直面し、事業は苦戦を強いられ設立以来、赤字が続いている。

同証では22年まで現地法人の初代社長を務めた孫冬青氏が昨年、退社するなど幹部の流出が続いた。孫氏は深センに拠点を置く東亜前海証券に入社した。

野村HDは野村東方国際株式の51%を保有する。同証を立て直すため、これまでに経営戦略の見直しや人員削減、経営陣の交代などの対策を講じてきた。

野村HDでホールセール部門長のクリストファー・ウィルコックス氏は3月のブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、「われわれは中国に対して長期的にコミットしている」と語った。同氏は不動産市場安定化の兆候や政府によるさらなる財政刺激策を望んでおり、「われわれの中国に対する信頼感は間違いなく高まっている」と述べた。

--取材協力:Amanda Wang、Cathy Chan.

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