住友生命保険の高田幸徳社長は、4月からの新年度の運用方針について、通貨スワップを活用し、ドル建て社債を円で購入して積み増す考えを示した。為替相場が1ドル=140円までのドル安・円高に進む可能性があると警戒しており、為替変動に対するリスクヘッジを強化する。

高田社長はインタビューで、日米の金融政策などを背景に「1ドル=145円や場合によって140円ぐらいまでいく可能性は十分にある」と指摘。その上で「円建てクレジットなどリスクを取れるようなところに振り向けていく」との考えを示した。

住友生命の2024年9月末時点の有価証券残高は30兆8100億円。そのうち海外公社債は約9兆2200億円と国債の11兆1400億円に次ぐ主要な投資先。海外公社債のうち75%が外貨建てだ。

国内に比べて海外の事業債は比較的利回りが高く、これまでも為替ヘッジ付き外貨建て事業債などに投資してきた。ただ、それだとヘッジコストが変動するため、クーポン(利息収入)が逆ざやになったりするなど不確実性が高かった。通貨スワップを用いてドルと円を交換することで、利息収入を為替相場の変動影響を回避しながら円で受け取れるようにする。

年初に1ドル=158円台だった円相場は、今月には一時147円台前半と約5カ月ぶりの円高水準を記録。米連邦公開市場委員会(FOMC)では経済成長率の見通しを大幅に引き下げた一方、インフレ見通しは引き上げ、米景気への不透明感は増している。

住友生命の高田社長(2024年3月)

高田社長は今後の海外でのM&A(企業の合併・買収)戦略については、完全子会社化の米生保グループのシメトラ・ファイナンシャルとシンガポール・ライフ・ホールディングス(シングライフ)を挙げて、「それぞれの会社の良さをさらに生かせるようなところであれば新たなM&Aも検討の余地がある」と述べた。

また、国内生保の間では、積極的な資産運用を手がける米ファンド系の再保険会社と契約を結び、保険契約の一部を移転するなどのケースが徐々に増えている。高田社長はそうした再保険の活用は資本効率向上や高い運用リターンを提示できる商品組成などにメリットがあるとして「常に研究している」と説明。「良いタイミングで良い出再先があれば検討の一つだ」と語った。

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