格付け会社DBRSモーニングスターがフランスの長期発行体格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。国防費増額への世論の高まりや政局不安定化リスクを背景に公的債務を巡り改めて警鐘を鳴らした。

同社は21日の発表文で、見通し引き下げ理由について「フランスが大幅な財政赤字と高い公的債務比率を向こう数年間で削減するのが難しくなるリスクが、特に利払い費の増加に関連して高まっている」ためと説明した。

長期発行体格付けは最高格付けより1段階低い「AA(高)」に据え置いた。S&Pグローバル・レーティング、ムーディーズ・レーティングス、フィッチ・レーティングスはDBRSより2段階低い格付けにしている。

 

フランスでは昨年の国民議会(下院)選挙で、絶対多数政党不在のハングパーラメントとなり、緊急の歳出削減が不可能になったことから財政危機が深刻化。12月には2025年度予算案に反対する極右政党・国民連合(RN)と左派連合が共闘し、バルニエ内閣が崩壊した。

その後発足したバイル新内閣は2月、財政緊縮の度合いを緩め、政府財政赤字の対国内総生産(GDP)比を5.4%に抑える25年度予算案を強行採択した。前政権下の目標値は5%だった。

DBRSは「フランスは公共支出の対GDP比が先進国で最も高く、歴史的に見て引き下げが難しいことから、財政の再均衡化は一層困難だ」と指摘した。

予算案が確定しても、バイル首相が国民議会の過半数議席を掌握していないため、再び政権が崩壊する恐れがある。法定定年を62歳から64歳に引き上げて物議を醸した法律や年金制度改革が近く議会で審議される見通しで、再び与野党間の緊張が高まる可能性が高い。

さらに、欧州が防衛支出を大幅拡大する方針を示したことから、フランスの財政状況は一段と圧迫される見通しだ。フランス10年債と30年債の利回りは最近、2011年以来の高水準を記録した。

DBRSは「防衛費増額も中期的に財政赤字を押し上げ得る」としたほか、「地政学的緊張や貿易摩擦がフランス経済の成長の重しになる可能性がある」と警告した。

 

原題:France Gets Budget Warning as DBRS Turns Negative on Rating(抜粋)

--取材協力:Alice Gledhill.

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