(ブルームバーグ):シカゴ連銀のグールズビー総裁は21日、関税に起因するインフレへの打撃は一過性のものに終わる可能性があると述べた。ただし関税の範囲が限定的であることが前提だという。
「輸入が国内総生産(GDP)に占める比率はわずか11%だ。従って報復措置がなく、当初の対象を超えて広がらない一時的な関税であれば、インフレへの影響は一過性のものになり、金融政策はそれを無視する形になるだろう」とグールズビー総裁は経済専門局CNBCで話した。
トランプ米大統領はすでに中国への関税率を2度引き上げ、20%の上乗せとした。これとは別に鉄鋼とアルミニウムの輸入にも関税を賦課する。4月2日には相手国の関税率や非関税障壁と同レベルの関税を賦課する、いわゆる相互関税を発動する計画だ。カナダと欧州連合(EU)、中国はそれぞれ独自の関税ですでに報復済み、もしくは報復を計画している。
グールズビー総裁は関税の規模が拡大し、他国からの報復があれば、連邦公開市場委員会(FOMC)としては対応を余儀なくされるかもしれないと述べた。
「規模が拡大し、サプライショックの可能性が高まれば、無視するべきだとはそれだけ言いづらくなる」と同総裁は話した。
FOMCは19日に政策決定を発表し、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が会見した。その後のFRB当局者発言は、この日のグールズビー総裁によるCNBCインタビューが最初のものとなった。パウエル議長は会見で、関税関連の物価上昇について自身の基本シナリオを説明するにあたり、「一過性」という表現を復活させた。議長はその上で、「実際のところは分からない」と述べ、最終的な影響を見極める必要があると予防線を張った。それでも「一過性」という言葉は、コロナ禍に起因するインフレ高進においてFRBの対応が出遅れた過去を想起させる。
19日に発表されたFOMCメンバーによる予想中央値では、2025年の経済成長率が引き下げられた一方、インフレと失業率の見通しは引き上げられた。パウエル議長はインフレ抑制の進展が関税によって停滞する可能性を指摘しつつ、物価上昇率は向こう2年かけて低下する傾向にあるとの見方を変えなかった。
グールズビー総裁は経済の強さが今もデータに示されていると述べ、インフレ率の低下が続けば、金利は向こう1年から1年半にかけて低下するとの見方を改めて示した。
原題:Fed’s Goolsbee Sees Transitory Inflation From One-Time Tariffs(抜粋)
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