ドイツ連邦参議院(上院)は21日、財政改革法案を可決した。同法案が議会の最後のハードルを越えたことで、ドイツは防衛・インフラ資金として数千億ユーロを借り入れることが可能になる。

この前例のない財政パッケージを巡っては、次期首相候補のメルツ・キリスト教民主同盟 (CDU)と社会民主党(SPD)、緑の党の間で妥協が成立し、18日に連邦議会(下院)を通過していた。

国内16州の代表らで構成される上院でも、この3党が十分な議席を持っているため可決は確実視されていた。最終的に同法案には、可決に必要な46票を超える53票の支持が集まった。これによりシュタインマイヤー大統領の署名と官報への掲載を経て法制化される。

数十年に及ぶドイツの緊縮路線に終止符を打ち、財政拡張にかじを切る同法案の成り行きを、投資家は注視していた。財政政策の変更を市場は概して前向きに捉えており、ブルームバーグのエコノミストは、ユーロ圏の成長押し上げに寄与するはずだと指摘した。

法案可決後にドイツ国債は上げを維持し、10年物利回りは2.75%と2週間ぶりの低水準に接近している。

メルツ氏は21日、ベルリンで開かれた独紙フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)主催のフォーラムで、「ドイツを外から見れば、欧州や欧州以外の諸国から聞こえてくるのは、圧倒的にわれわれが合意したことへの肯定的な評価だ」と胸を張った。

法案通過で、焦点は連立交渉に移る。メルツ氏率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)はSPDとの連立協定を遅くとも4月20日の復活祭(イースター)までにまとめたい考えだが、ここ数日は不協和音も聞かれ、交渉が長引く恐れも生じている。

原題:Germany’s Landmark Spending Bill Wins Final Lawmaker Backing (1)(抜粋)

(第5段落に相場の情報を、最終段落に連立交渉の行方を加えます)

--取材協力:Michael Nienaber、Petra Sorge.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.