(ブルームバーグ):大手スポーツ用品メーカー、米ナイキで業績回復の取り組みが難航している。同社は貿易戦争激化の影響を見込みつつ、古い在庫の一掃を図ろうとしている。
ナイキの株価が20日、引け後の時間外取引で下落した。同社は成長を取り戻す上で欠かせないとして進める商品変更で、売上高と収益性がさらに下振れする見通しを示唆した。また、3-5月(第4四半期)の粗利益率が前年同期を大きく下回ると見込む。中国とメキシコからの輸入品に対する米関税が一因という。

ナイキは売り上げ減と人員削減で厳しい1年を経験したが、昨年10月に最高経営責任者(CEO)に復帰したエリオット・ヒル氏は、同社を成長軌道に戻す考え。スポーツへの再注力と小売り提携先との関係修復で改革を進めている。
ニューヨーク時間午後6時25分(日本時間21日午前7時25分)時点の時間外取引で、ナイキの株価は4.3%安。
ナイキは「エアフォース1」や「ダンク」といった一部の主力スニーカーで需要が低迷。大幅値引きで在庫処分を進めている。在庫は2024年12月-25年2月(第3四半期)に2%減少したが、マット・フレンド最高財務責任者(CFO)は在庫がなお「あらゆる分野で高水準にある」と説明した。
同社が業績てこ入れを目指す背景には、個人消費低迷とトランプ大統領の貿易戦争エスカレートがある。消費不振が長引く中国でナイキの売上高はアナリスト予想を下回った。一方、北米のほか欧州・中東・アフリカ(EMEA)では予想を超えた。
アナリストとの電話会議でフレンド氏は、不確実性をもたらしている要因として「地政学的な力学、新たな関税、不安定な為替レート、税制」を挙げた。
12-2月期の売上高は9%減の113億ドル(約1兆6800億円)。市場予想(11%減)ほどは落ち込まなかった。
原題:Nike’s Comeback Bid Is Threatened by Inventory Reset, Tariffs(抜粋)
(決算内容や背景などを追加して更新します)
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