(ブルームバーグ):X(旧ツイッター)の筆頭株主イーロン・マスク氏は昨年、少数株主から買い取る形でX株を追加購入するため1億5000万ドル(現在のレートで約220億円)を投じた。2022年のX買収で支払った価格に近い評価額で購入したという。
サウジアラビアの投資会社キングダム・ホールディングの24年の年次報告書によると、マスク氏は、同じ評価額での追加取得に「意欲を示している」という。キングダムは、社名がまだツイッターだった11年からXの株主。
報告書はマスク氏やXに具体的に言及していないが、Xについて記述されたことを、今回の投資に詳しい関係者が匿名を条件に確認した。
報告書によれば、「未公開のソーシャルメディア企業」の過半数株主がXに最近投資を行い、その取引価格はキングダムの貸借対照表上のX株評価と同等だった。それに基づくと、X全体の純資産価額は昨年末時点で推定約292億ドル。これは22年10月にマスク氏らがツイッター株を取得した時の水準に近い。
マスク氏は23年10月時点でX株の約74%を保有していたことが、ネブラスカ州規制当局に提出された資料で判明している。マスク氏の昨年の取引はこれまで報告されてこなかった。
同氏とキングダムにコメントを求めたが、すぐには回答はなかった。
Xはマスク氏がオーナーになって以降、苦戦を強いられてきた。マスク氏による買収直後には、メッセージが不適切なコンテンツと並んで表示されることを警戒した広告主が相次いでXからの撤退や広告掲載停止に動いた。ただトランプ大統領が返り咲いてから事業は回復基調にある。
原題:Musk Has Been Buying Up X Shares Near Initial Purchase Price (1)(抜粋)
--取材協力:Tom Maloney.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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