中国株を今年大きく押し上げているリスク志向が、転換社債に波及している。中国の転換社債がリターンと取引高の両方で約4000億ドル(約60兆円)規模のグローバル市場をリードしている。

中国の発行体が3分の2を占めるICE・BofAアジア転換社債指数(強制転換条項なし)は年初来で10%余り上昇。米国の転換社債指数は約1%下げ、世界指数は3.7%上げている。

アリババグループや小米などがけん引する中国指数の勢いは、人工知能(AI)の進歩に対する楽観的な見方が強まっていることが背景。

転換社債は低金利の証券として発行されるが、対象株式の株価が一定水準に上昇すれば株式に転換可能。中国勢の好調ぶりは、株価指数における相対的な強さを反映したものだ。米ナスダック100指数が今年7%下げているのに対し、ナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数は24%上昇している。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)がTRACE(相場情報提供システム)のデータに基づきまとめたリポートによると、転換社債50億ドル相当を昨年5月に発行したアリババは転換社債市場で最も活発に取引されている銘柄となっている。

その取引高は、暗号資産(仮想通貨)ビットコインへの積極投資で知られる米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)の2倍だ。

 

投資家はアジア企業の米国預託証券(ADR)転換社債を以前より受け入れるようになっており、 BofAによれば、こうした社債発行は現在、世界市場の約5%を占めている。

BofAのグローバル転換社債・優先戦略責任者マイケル・ヤングワース氏はインタビューで、中国転換社債の存在感は「無視できないほど大きくなっている」と述べ、「以前はためらっていた米国の投資家もいただろうが、これらの社債が市場平均を大きく上回るパフォーマンスを上げているため、市場規模が拡大している。投資家の参加が増えている」と説明した。

ただ、トランプ米大統領の関税政策による地政学的不確実性の高まりなど依然としてリスクがあるとも指摘。米上場の中国企業を米国の取引所から排除する可能性にホワイトハウスが再び言及すれば、中国の発行体がリスクにさられる懸念が残っていると語った。

原題:Investors’ China Rush Powers Convertible Notes to Top US Peers(抜粋)

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