米電気自動車(EV)メーカー、テスラがウォール街の嫌われ銘柄に転落している。中国の競合、比亜迪(BYD)が5分で充電可能なEVシステムを発表したことで、イーロン・マスクの強みだったEVにおけるイノベーションでテスラが抜かれたとの見方が出ている。

テスラ株は18日の取引で一時6.6%急落。対照的に、BYDは18日の香港市場で過去最高値を更新した。

同社株の割高なバリュエーションは、絶え間ないイノベーションで常に競合勢の一歩先を行くとの評価が支えてきた経緯があり、今回のBYDの発表は大きな痛手だ。

テスラに対する地合いはすでに、ここ1カ月で悪化していた。主要市場での販売低迷に加え、政治的な影響を強めるマスク氏の存在が株価の重しとなっている。

アプタス・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、デービッド・ワグナー氏は「テスラは中核の能力において競争上の優位性を失いつつあるようだ。多くの競合が急激に切り込んでいる」と述べた。

テスラは年初来で43%値下がりしており、S&P500種株価指数の構成銘柄で最もパフォーマンスが悪い。BYDが急速な進展を見せていることも、投資家の懸念を深めている。

ヘッジファンド・テレメトリーの創業者トム・ソーントン氏は「航続距離への不安と充電に時間がかかることが、EV購入の大きな障害だ」と指摘。「EV業界にとってこれほど大きな問題を解決する企業が出現すれば、業界の勢力図を塗り替えるゲームチェンジャーになるだろう」と述べた。

テスラの販売が世界的に低迷していることを受けて、アナリストの間では目標株価を引き下げる動きが活発化。今週に入って少なくとも2人が目標株価を下方修正した。

原題:Tesla Stock Slapped Down by Chinese Rival’s ‘Game Changer’ Tech(抜粋)

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