ドイツ連邦議会(下院)は18日、防衛・インフラ支出に向けた何千億ユーロもの借り入れを可能にする、財政改革パッケージを賛成多数で可決した。ドイツの財政政策は、数十年にわたる緊縮路線から、財政拡大政策へとかじを切った。

物議を醸したこの法案は、次期首相候補のメルツ・キリスト教民主同盟 (CDU)党首が提案した。18日の下院の投票では、733票中513票と、憲法改正に必要な3分の2の賛成票を獲得した。

この法案は、 防衛・安全保障関連の支出として、国内総生産(GDP)の1%、つまり約450億ユーロ(約7兆4000億円)を超える額が、ドイツ憲法に盛り込まれた借り入れ制限、いわゆる「債務ブレーキ」から除外される。実質的にGDPの1%を超える支出に上限がなくなり、ロシアへの抑止力として再軍備するための無制限の資金供給につながる可能性がある。

同時に、予算外の特別なインフラ基金が憲法に組み込まれ、今後12年間に5000億ユーロを上限として借り入れを行うことが可能になる。

次期連立政権で閣僚となる可能性が高い社会民主党(SPD)のクリングバイル共同党首は18日、投票前の討論の場で、「ドイツは欧州におけるリーダーシップを引き受けなければならない」と強調した。

ドイツ連邦議会で投票するメルツ・キリスト教民主同盟党首(中央)

転換

欧州一の経済大国ドイツの景気は、エネルギーコストの高騰や製造業の低迷、官僚主義といった構造的な問題で2年間にわたり縮小傾向にあった。積極的な財政政策への転換は、同国経済の復活につながる可能性が高い。ドイツの歴史的な決定は、地域全体の成長を後押しすると期待されている。トランプ米大統領がウクライナ支援を継続しない可能性を示唆したり、北大西洋条約機構(NATO)に懐疑的な姿勢を示したりしたことが、こうした動きに拍車をかけた。

ドイツの主要株価指数であるDAX指数は18日、最高値を記録し、欧州の他の市場を上回る結果となった。また、同日発表の投資家心理を示す3月の期待指数は、過去2年で最も大幅に上昇した。可決の報道を受け、ドイツ債はそれまでの下落分を取り戻した。ユーロは下落した。支出拡大への期待から、ドイツ債の利回りは今月大幅に上昇している。

 

ドイツの16の州が代表を出す連邦参議院(上院)が21日の採決で承認すれば、シュタインマイヤー大統領の署名を経て、法律が成立する。

CDU・CSU陣営とSPDは連立協議を急ピッチで進め、遅くとも復活祭(4月20日)までの政権発足を目指している。

原題:German Lawmakers Vote on Landmark Spending Bill: What to Watch、Germany’s Landmark Spending Splurge Wins Parliament Approval(抜粋)

(採決結果などを反映し更新します)

--取材協力:Michael Nienaber、Kamil Kowalcze、Arne Delfs.

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