(ブルームバーグ):北米の貿易戦争はその初期段階で、カナダ最大のデリバティブ(金融派生商品)取引所の運営会社に恩恵をもたらしている。
投資家は地政学的不安を緩和するため不確実性を回避する金融商品に殺到しており、トロントに拠点を置くTMXグループなどの取引所もその波に乗っている。
TMXのトレーディング・グローバル責任者リュック・フォーティン氏は10日、米フロリダ州ボカラトンで開催された先物業協会(FIA)の会議で、金利先物と上場投資信託(ETF)オプションの取引高が「一気に増えている」と述べた。
貿易戦争への懸念が高まる中で、世界の株式相場は乱高下しているが、トランプ米大統領の最も痛烈な批判や脅威の矢面に立たされてきたカナダでは、そうした変動が特に目立つ。
カナダ株の指標S&Pトロント総合指数の20日間のボラティリティーは14日、2022年以来の高水準に達し、オプション市場に波及効果をもたらした。これに対し、主要先進国の株価指数の最近の変動は長期的なトレンドに沿ったものとなっていることがブルームバーグの集計データで示されている。
CMEグループやインターコンチネンタル・エクスチェンジ(ICE)などの米大手取引所と同様、TMXはさまざまな資産クラスの価格変動に対するヘッジや投機の多くの手段をトレーダーに提供している。
ボラティリティー上昇はTMXの株価に有利に働いている。同社株は今年に入り13%上昇したが、S&Pトロント総合指数は0.7%下落している。

TMX傘下のデリバティブ取引所、モントリオール取引所の取引高は2月に前年同月比35%増の2030万枚超と、過去最高を記録。TMXグループ全体のデリバティブ取引およびクリアリング(清算)業務からの収入は24年に32%増加した。
モントリオール取引所におけるETFオプションの取引高は2月に前年同月比で116%急増した。オプションズ・クリアリング・コーポレーション(OCC)のデータによれば、米オプション市場における同月のETFオプションの取引高は10%増にとどまった。
デジャルダン・セキュリティーズでストラクチャードプロダクツチームのナショナルディレクターを務めるジェームズ・ニール氏は「プロテクション需要が著しく増えている」と指摘した。
原題:US Tariff Spat Fuels Trading Boom on Canada’s Top Exchange(抜粋)
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