トランプ大統領の貿易政策が米経済の安定性を損なうとの懸念が高まっており、個人消費の強さに最も依存する企業の株価に痛手が及び始めている。

トランプ政権の政策が繰り返し修正される中、小売業者や航空会社、レストラン経営など裁量的支出に頼る企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、利益の重しとなっている。一般消費財やサービスなどの銘柄から成るS&P指数は4週連続で下落。過去1カ月で15%下げ、S&P500種株価指数の倍近い下落率となっている。

相次ぐ小売業者による期待外れの利益見通しが最近の下落の引き金となり、先週は米大手航空会社の業績見通し下方修正で売りに拍車がかかった。物価高の継続で米消費者が節約志向を強める中、消費関連企業は、貿易や政府支出を巡るトランプ政権の政策不透明性にも直面している。

14日に発表された3月の米ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は2022年11月以来の低水準に落ち込んだ。一方、長期のインフレ期待は、1993年以来の高水準となっている。

ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、パトリック・ケイザー氏は、同社も含め市場は「トランプ政権が総じて成長重視の姿勢を取り、最も高所得の世帯に恩恵をもたらすとしても全体の底上げにつながるとのコンセンサス見通しを受け入れていた」と指摘。政権の発信が「安定性や信頼感、成長を阻害しているのを踏まえると、米消費者の安全についてわれわれの見解は間違いなく悪化した」と説明した。

 

ウォルマートやベスト・バイ、アバクロンビー・アンド・フィッチなどに続き、先週は百貨店コールズとスポーツ用品小売りディックス・スポーティング・グッズの決算が消費者の購買力に対する懸念を強める結果となった。両社の通期見通しはいずれもウォール街の予想を下回った。

原題:Economic Fear Pummels Stocks Tied to Americans’ Spending (1)(抜粋)

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