(ブルームバーグ):フランスの高級品メーカー、ケリングは傘下のブランド「バレンシアガ」のデザイナー、デムナ・ヴァザリア氏を「グッチ」のアーティスティックディレクターに指名した。物議を醸しながらもバレンシアガの販売増に貢献した同氏の起用で、低迷するグッチの復活を目指す。
13日遅くに発表された人事は、グループ外部から知名度の高い人物が起用されると期待していた投資家を失望させた。ケリングの株価は14日朝のパリ市場で一時11%下落。最大ブランドであるグッチの低迷でLVMHなどのライバルに後れを取っており、過去1年間では47%下落している。
ケリングによれば、デムナ氏は7月に就任する予定。バレンシアガは、2015年からクリエーティブディレクターを務めるデムナ氏の下、スニーカー「トリプルS」などを打ち出し、人気を博した。
ケリングのフランソワ・アンリ・ピノー会長兼最高経営責任者(CEO)は、デムナ氏の「クリエーティブな能力は、まさにグッチが必要とするものだ」と述べた。

ケリングは、グループの利益の3分の2近くを占めるグッチの成長回復に取り組んでいるが、特に中国での需要低迷で苦戦している。グッチの前任のサバト・デ・サルノ氏は先月、退任を発表。グッチの販売不振が続く中、就任後わずか2年での降板となった。
デムナ氏は22年、物議を醸したバレンシアガのキャンペーン広告について、「間違った芸術的選択」だったと謝罪。この広告はボンデージ(性的な拘束行為)を連想させる衣装をまとったテディベアを抱く子供モデルを起用し、子供を性の対象としているとして批判されていた。
ケリングが先月発表した24年10-12月(第4四半期)決算で、グッチの売上高は前年同期比24%減少。アナリスト予想以上の落ち込みとなった。ピノー氏は、年内の中国の需要回復は見込んでいないとして、早期の業績回復に悲観的な見方を示した。

原題:Kering’s Pick to Revamp Gucci Designs Falls Flat With Investors(抜粋)
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--取材協力:Kit Rees.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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