(ブルームバーグ):トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争を背景に米株式市場が調整局面に向かっているにもかかわらず、強気相場に乗ってきた個人投資家は今のところ自信を失っていない。
JPモルガン・チェースのグローバルクオンツ・デリバティブ(金融派生商品)担当ストラテジスト、エマ・ウー氏によると、個人投資家は12日までの1週間に73億ドル(約1兆1000億円)を株式に投じ、テスラなど長らく人気の銘柄への投資を膨らませた。
個人投資家は、上昇トレンドに乗ったわけではない。S&P500種株価指数は4%余り下落。大型テクノロジー銘柄はいっそう下げた。
だがこうした動きもかかわらず、ナスダック100指数などの運用実績を増幅するレバレッジ型上場投資信託(ETF)や、キャシー・ウッド氏が手がける「アーク・イノベーションETF」といった人気ファンドにも多額の資金を投入した。

一部の例外を除き米国株が毎年上昇傾向にある中、世界金融危機以降、個人投資家は自信を強めている。
もっとも、必ずしも前向きな兆しではない。
ウォール街の専門家は、トランプ氏の関税政策や連邦支出削減による経済への影響を見極めようと、少なくとも一時的に市場に対し慎重な姿勢を強め始めている。
一方、個人投資家が一番最後に株式へのエクスポージャーを減らす傾向があり、相場の底入れには個人勢のそうした動きが見られなければならず、資金流入が続いている現状では底はまだ先との見方もある。
ベテランのストラテジスト、ジム・ポールセン氏によれば、2月の個人投資家による株式保有は現金を50%上回った。1988年以降の弱気相場ではないS&P500調整局面における平均最低水準に比べ、倍以上の高い割合だという。
原題:As Wall Street Gets Worried, Retail Crowd Keeps Buying US Stocks(抜粋)
--取材協力:Jess Menton、Elena Popina.
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