(ブルームバーグ):欧州各国による軍事支出の増強見込みにより、防衛関連株が急上昇し、今では欧州の高級ブランド銘柄と同等の高いバリュエーションとなっている。
ドイツの戦車および弾薬メーカー、ラインメタルの株価は今年に入り90%余り上昇。その結果、同社株のバリュエーションはクリスチャン・ディオールの親会社であるLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンと、高級ハンドバッグ「バーキン」のエルメス・インターナショナルの間という記録的な水準にまで上昇した。
フランスのタレスやイタリアのレオナルドなど、他の欧州防衛関連株も急伸しており、投資家が期待する増益を達成できるかどうかが試金石となっている。12日に発表されるラインメタルの決算に注目が集まる。

防衛株強気派は、ドイツが軍事費として数千億ユーロを確保する方針を打ち出したことや、欧州連合(EU)に追随を促す動きを、自信の根拠としている。

一方で、2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻以来、ラインメタルの株価が約1100%も上昇していることを考えると、既に株価は割高になっているとの見方もある。

ウォーバーグ・リサーチのアナリスト、クリスチャン・コアス氏は、政府予算は既に防衛支出を国内総生産(GDP)の3%に近づけているとして、ラインメタルの投資判断を「買い」から「ホールド」に先週引き下げた。
それでも、ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは欧州の防衛関連株は過大評価されているわけではないとの見方を示した。ギョーム・ジェソン氏らは7日のリポートで「成長期待が非常に高いため、株価収益率で見ると適正な水準に見える」と分析。
ミスラフ・マテイカ氏らJPモルガン・チェースのストラテジストも10日のリポートで、欧州の防衛株には「まだ上昇余地がある」とし、「強気の見方を維持する」としている。

原題:Tank Builder’s Stock Hotter Than LVMH in New European Order (1)(抜粋)
(最終2段落を追加します。更新前のバージョンはデックヘッドと第2段落のLMVHをLVMHに訂正済みです)
--取材協力:Laura Alviz、Michael Msika、Jan-Patrick Barnert、Sagarika Jaisinghani.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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