暗号資産(仮想通貨)のビットコインが10日の取引で一段安となり、昨年11月以来の安値を付けた。トランプ米大統領がここ数日、仮想通貨を支援する発表を相次ぎ行ったが、関税合戦のエスカレートによるマクロ経済への逆風がこれを打ち消している。

トランプ氏の関税や連邦政府の人員削減が成長に打撃を与えるとの警戒感が広がっており、仮想通貨を含むリスク資産に対して売り圧力が強まっている。

B2C2のディレクター、ニコライ・カルペンコ氏は「トランプ大統領が仮想通貨の戦略備蓄を発表したことで当初は楽観的な見方が広がったが、マクロ経済状況の悪化に伴う激しい売りによって、すぐに上昇基調は崩れた」と述べた。

ビットコインは一時6.8%安の7万7416ドルまで売られ、昨年11月10日以来の安値を記録。トランプ氏が戦略準備の候補として言及したものの大統領令では言及されなかったソラナ、カルダノ、リップルも軒並み安となった。

暗号資産関連株にも売りが波及し、暗号資産交換業者の米コインベース・グローバルは18%安と2022年7月以来の大幅な下げを記録。ビットコインに積極的に投資する米ストラテジー(旧マイクロストラテジー)は17%下落した。

トランプ氏は7日にホワイトハウスで暗号資産サミットを開催したほか、「ビットコイン戦略備蓄」とその他トークンから成る「デジタル資産備蓄」を創設する大統領令に署名するなど暗号資産に友好的な姿勢を示したが、市場のセンチメント改善は限定的だった。

米政権は法的な手続きを経て押収した暗号資産を備蓄に組み入れると約束したものの、新規取得へのコミットメントがなかったことが投資家の失望を誘った。

暗号資産取引所BTSEのジェフ・メイ最高執行責任者(COO)は「市場はサミットを期待外れと受け止め、広く見込まれていた暗号資産の備蓄が既存の政府保有分のみであることが明らかになり、主要な暗号通貨は下落した」と指摘。

「ビットコインは今後数週間で7万-8万ドルのレンジに下落する可能性が十分にある。関税戦争が終わり、米金融当局が利下げを再開したときにのみ、主要な暗号資産はこれまでの最高値に向けたトレンドに回帰する」と述べた。

 

原題:Bitcoin Sinks to a Four-Month Low Amid Concerns Over US Economy(抜粋)

--取材協力:Emily Mason、Emily Nicolle.

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