(ブルームバーグ):イスラエルは、既に制限していたパレスチナ自治区ガザへの送電を停止した。イスラエル政府はイスラム組織ハマスの人質拘束への対応だと説明した。
イスラエルの占領地政府活動調整官組織(COGAT)報道官は、影響を受けるのはガザ地区の淡水化処理施設への専用送電線であり、同施設は稼働停止になると説明した。COGATはパレスチナ自治区の文民政策策定を主導する。
収容中のパレスチナ人数百人の釈放と引き換えに少数の人質が解放された停戦合意の第1段階は3月2日に期限が切れた。無期限停戦の条件を巡り双方の溝は埋まっていない。
イスラエルは2日以降、ガザ地区への人道支援物資や商品の搬入を停止しており、同国が主張する主要な条件をハマスが受け入れなければ追加措置を講じるとしている。
イスラエルのコーヘン・エネルギー相は電力供給停止を発表した9日の動画で、「人質解放とそれに伴うハマスのガザ退去を確実にするため、われわれはあらゆる手段を講じるつもりだ」と語った。
この施設がガザ地区全体の水供給に占める割合は極めて小さく、ほとんどは井戸からくみ上げられている。イスラエルからガザへの主要送電線は戦闘の初期段階に既に破壊されており、同地区の淡水化処理施設以外のエネルギー需要は非常用発電機によって賄われている。
ハマスは声明で、「合意条件を順守し、第2段階の交渉を開始するよりほかに方法はない」とし、イスラエルの決定を非難。圧力に屈しないと表明した。
イスラエルはハマスと長期合意を取り結び、戦闘だけでなく、ハマスの支配と武器供給も終わらしたい考え。しかしハマスは権力を手放す用意があると示唆する一方で、非武装化については譲歩しない構えだ。
イスラエルはエジプトと共に和平交渉を仲介するカタールに特使を10日に派遣する予定。米国は和平交渉を注視しつつ、限定的ながらハマスと直接接触している。
ハマスとの交渉に関与している米国のボーラー人質問題担当大統領特使は9日に放送されたCNNの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」で、数週間のうちに突破口が開ける可能性があるとの見解を示した。
原題:Israel Trims Gaza Electricity in Pressure Move Over Hostages (1)(抜粋)
--取材協力:Sherif Tarek.
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.