中国の王毅外相は7日、米中間の緊張が高まる中、トランプ米大統領が二国間の関係に偽善的なアプローチをとっているとし、同氏の関税措置を非難した。

王氏は開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)にあわせて北京で開いた記者会見で、合成麻薬フェンタニルの米国への流入を阻止する中国の措置を擁護した上で、トランプ氏が中国政府に圧力をかける口実としてこの問題を利用していると非難。

「米国は恩をあだで返すべきではないし、中国製品に恣意(しい)的な関税を課すことさえすべきではない」とし、「いずれの国も中国を抑圧しながら良好な対中関係を維持できるなどと考えるべきではない」と述べた。

その上で「このような表裏のある偽善的行為は二国間関係の安定にとって良いことではない」と強調。トランプ氏が習近平国家主席や二国間関係について称賛しながら、これまでで最も広範な関税を中国に課していることを示唆しているとみられる。

王氏の米国に対する痛烈な非難によって、米中間の貿易協定締結に向けた協議に対する不確実性が高まる可能性が高い。中国当局はこれまでのところ、前回の貿易戦争での「戦狼外交」とは対照的に、的を絞った措置と慎重な発言で対応してきたが、対話がないことで不満が募っているようだ。

米中両政府は協議が間近に迫っているという兆候を公には示していない。トランプ氏は今回の対中関税第一弾が発動する前に習氏との会談に意欲を示したが、トランプ氏の大統領就任以来、両氏の電話会談は行われていない。

 

王氏はまた、「変化し混乱する世界に必要とされる安定をもたらした」中国が、世界的な公平性と世界平和を守っていくと表明した。

トランプ氏はロシアとの協議を通じて世界の秩序を再構築しようとしており、欧州および北大西洋条約機構(NATO)との間に摩擦が生じている。西側の同盟国は、同氏がウクライナに背を向ける一方、拡張主義的な主張を強めるのではないかと懸念している。

トランプ氏は米国によるグリーンランド領有やパナマ運河管理などを主張しているほか、カナダは米国の51番目の州になるべきだなどと述べている。

こうした中、王氏は「中国とロシアの友好関係は変わらない」と強調。「それは、地政学的な利益によって変わるものではない。混乱する世界において不変だ」と語った。

王氏はウクライナ戦争の終結に向けた和平協議に対する中国の支持を改めて表明したが、中国政府が平和維持部隊を派遣するかとの質問には直接答えなかった。

中国と欧州の関係に関する質問に対し、不確実性が高まっているため、双方がコミュニケーションを強化する必要があるとの考えを繰り返し、トランプ氏の「米国第一」政策に関する質問には、「大国」は原則よりも自国の利益を優先したり、弱い者いじめをしたりすべきではないと答えた。

一方、台湾に関しては「中国は統一を達成するだろう。これは止められない」と強硬的な姿勢を示し、台湾への支持を高める日本を批判した。

原題:China Blasts Trump as ‘Two-Faced,’ Calls Fentanyl Tariffs ‘Evil’(抜粋)

(王外相の発言を追加して更新します)

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