トランプ米大統領が主要貿易相手国からの輸入品に関税を発動し経済と市場を揺るがしている。これまでに、カナダとメキシコからの輸入品のほとんどに25%の関税を課し、対中追加関税は20%に引き上げた。

こうした措置により、米国の輸入関税は平均して1943年以来の高水準に達すると、エール大学予算研究所は分析。トランプ大統領はさらなる関税引き上げを示唆している。

関税がどう機能するのか、実際に誰が負担するのか、その収入はどう徴収されるのかなどを以下で説明してみたい。

関税とは何か、どんな目的があるのか

関税とは輸入品に課される税金で、他の税金と同様、政府の財源となる。各国は長年、関税賦課を通じて外国製品の価格を押し上げ、国内産業を支援してきた。トランプ大統領も、外交政策目標を達成する手段として関税を活用している。

関税の徴収や施行方法は

関税徴収に関する規制の策定は米財務長官の責任だが、その施行は米税関・国境警備局(CBP)が担当し、全米に約330ある出入国地点で書類審査と監査を行い、関税や罰金を徴収する。 関税は通関時に徴収され、財務省の一般基金に納められる。

完成品になる前に国境を何度も越える商品や部品もある。例えば、米国製の部品をメキシコで組み立て、米国に再輸入する自動車などだ。CBPの規定では、米国製製品が「改良」または「高度化」されることなく再輸入される場合は、関税は免除される。

関税で得られる税収規模は

関税はかつて、米政府の主な財源だったが、この100年の大分部の期間、政府の歳入に占める割合はごくわずかだった。 セントルイス連銀の政府データ分析によると、昨年時点で連邦収入の3%未満。

超党派シンクタンク、タックス・ファンデーションの推計によると、カナダとメキシコ、中国に対する関税を合計すると、今後10年間で米国の輸入業者に1兆1000億ドル(約164兆円)の追加コストとなる可能性がある。

タックス・ファンデーションはまた、トランプ政権1期目に賦課されバイデン前政権下で拡大された対中関税で年770億ドルの税収が得られたと推定した。

関税は誰が支払うのか

一般的には、米国の消費者と企業が関税引き上げによるコストを吸収していることが調査で判明している。外国の生産者が販売コストを減らしたり、米国の輸入業者がコストの一部を吸収したりしている可能性もある。

利益減少を避けるため、企業は値上げし、コストの一部を消費者に転嫁する選択をすることが多い。

しかし、関税の支払いが企業に過度な損害を与え、他の選択肢がなく他国から製品を購入するしかない場合、企業が関税の免除を申請できる免除プロセスもあり、これが抜け道ともなり得る。

トランプ大統領が米国にとって最大級の貿易相手国に懲罰的関税を課し、市場を混乱させている

関税賦課の影響は

関税発動で何が起こるのかを理解する上で、米中貿易の最近の歴史が参考になる。トランプ氏は1期目に、鉄鋼やアルミニウム、エンジンなどの中国製品にさまざまな関税を賦課した。2018年のトランプ氏の最初の貿易戦争以前には、米国が輸入する商品の2割を中国が供給していたが、23年にはわずか14%程度に減少した。

関税が賦課されると、輸入業者は関税回避手段に頼ることが多い。 第三国経由での商品の輸送や商品価値の過少申告、税率の低い類似商品への偽装などで関税回避が可能となる。

コンテナ船(カナダのバンクーバー港、2月3日)

トランプ大統領が提案する「外国歳入庁」とは

トランプ政権は「米国第一」主義に基づく通商政策の一環として関税徴収のため独立した「外国歳入庁」の創設を提案している。

アナリストらは、関税は米国を拠点とする輸入業者が支払うものでコストの少なくとも一部は米国の消費者へと転嫁されるため、関税収入は「外国」からの税収ではないと指摘している。この構想は、外国からの輸入品に対する関税を、納税者が負担しない歳入源として位置付けたいトランプ大統領の意向を浮き彫りにしている。

貿易協定への影響は

米国は世界20カ国の貿易相手国と自由貿易協定を締結しており、それには「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」(新NAFTA)も含まれる。

これらの協定では、各国は関税率をゼロに向けて引き下げることを約束している。トランプ大統領がメキシコとカナダに課した関税は、3カ国間の貿易協定(2026年に再交渉予定)と矛盾する。

米国には世界貿易機関(WTO)の加盟国として、補助金利用や関税などの貿易障壁に関する規定を順守する義務がある。

原題:How US Tariffs Work — and Who Foots the Bill: QuickTake(抜粋)

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