セブン&アイ・ホールディングスの創業家は4日、弁護士を通じて声明を発表し、多額の買収資金が必要で、その調達を短期間で実現することは容易ではないとして、セブンの株式非公開化提案を取り下げたと説明した。

セブンを取り巻く環境や直面する課題などに対して、迅速な経営判断や実行が求められる状況にあることも鑑みたという。創業家はセブンがカナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールから受けた買収提案の実質対抗策として、経営陣が参加する買収(MBO)を主導していたが、資金調達ができずに頓挫した。買収を巡る一連の動きの中で、創業家側が声明を公表するのは初めてとなる。

創業家は非公開化の提案に至った理由も説明。企業価値向上には時間がかかる世界展開の推進が必要なほか、社是として掲げる全てのステークホールダーに「信頼される誠実な企業」であることを実現するためには、会社のあり方を見直す時が来ているとした。

セブンの祖業であるイトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊氏は2023年に死去。現在は次男の伊藤順朗氏がセブンの代表取締役副社長を務める。ブルームバーグのデータによると、創業家の資産管理団体である伊藤興業はセブンの筆頭株主で8.14%を保有し、順朗氏も個人名で0.37%を保有する。MBOは順朗氏と伊藤興業からセブンに提案されていた。

セブンはクシュタールとの対話や買収提案の検討を続けるとする。一方、企業価値を向上させる策の一つとして井阪隆一社長を退任させる方向で最終調整に入ったとの報道が出ている。

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