米政府が経済にもたらす不確実性を懸念した投資家がハイテク大手株への投資を減らしたことから、米国株の2月のリターンはマイナスに沈み、好調な欧州株と対照的なパフォーマンスとなった。

S&P500種株価指数が2月に1.4%下落したのに対し、ストックス欧州600指数は3.3%上げた。S&P500種の月間騰落率は4.7ポイント劣勢で、2022年4月以来の開きとなった。

 

欧州ではロシアとウクライナが停戦に至る可能性やドイツの財政改革への期待が好材料となり、さらに2月最終週に発表された好調な企業決算が地合いを押し上げた。

一方、米国では経済データが振るわない上に、トランプ大統領が主要貿易相手国への関税賦課を表明。2月終盤に既に調整局面入りしているハイテク大手7社「マグニフィセント・セブン」は、その一角を占めるエヌビディアの決算を巡る懸念がさらなる重しとなった。

ケイン・アンダーソン・ラドニックの市場担当チーフストラテジスト、ジュリー・ビール氏は「欧州が安定感で若干上回る」とし、「欧州市場が恐らく過度に割安で、米市場は行き過ぎた割高だったため、両市場で逆戻りや調整が起こっている」と説明した。

バンク・J・サフラ・サラシンの株式ストラテジスト、ウォルフ・フォンロートベルク氏は、昨年のユーロ安や中国の景気刺激策も欧州株を後押ししていると指摘。ストックス欧州600のリターンは昨年12月の底入れ以後、S&P500を約11ポイント上回っている。

同氏は「この傾向は当面続きそうだ」とした上で、「しかし、貿易摩擦の激化や世界的な景気下降サイクルのリスクにより、今年後半には欧州株の持ち直しも終わり得る」との見方も示した。

原題:S&P 500 Lags Europe Most Since 2022 as Economic Fears Grow (1)(抜粋)

--取材協力:Allegra Catelli.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.