中国発のファストファッション通販企業SHEIN(シーイン)は、欧米市場を席巻してきた。そして今、別の中国アパレルブランドがそうした成功の再現を狙っている。

広東省広州市に本社を置き「中国版ZARA」と呼ばれる「アーバンレビボ(UR)」だ。URは、スペインのインディテックスが展開する衣料品ブランド「ZARA(ザラ)」や、スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)より多くの店舗を中国国内で展開している。

東南アジアでもこうしたライバルに追い付きつつあり、2月28日にはニューヨーク市のソーホー地区に、米国で初の旗艦店をオープンした。

アーバンレビボ創業者の李明光氏は、2025年に中国国外で25店を開設する計画で、ソーホーの店舗はその一つ。ロンドンや日本、中東でも複数出店する予定だ。

ニューヨーク市ソーホー地区にオープンしたアーバンレビボの店舗(2月28日)

李氏は、全て順調にいけば、来年には出店ペースが加速して中国国外での店舗数が100店に達する可能性があると述べた。

サプライチェーン構築については、海外で販売する衣料品の少なくとも半分をいずれ中国国外で製造することを検討。欧州向けの生産は今年トルコで開始し、米国向けには製造面での現地パートナーを探している。

李氏はブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「2016年にリスクを取って東南アジアに進出したが、ファッションにとっては欧米に参入して初めて真のグローバル化だと言える」と発言。「今やわれわれの世界進出は現実のものになっている」と述べた。

年商およそ10億ドル(約1500億円)の中国ブランドにしては、かなり大きな野望だ。この額はZARAやH&M、SHEINの売上高と比較すれば、ごくわずか。しかし、SHEINの世界的な成功は、中国のアパレルメーカーが欧米のファッションの中心地で足場を固められることを示した。

 

アーバンレビボは店舗網拡大だけでなく、製品を販売する国の内部またはその近くに工場を建設することも計画している。トランプ米政権が中国に対して厳しい貿易政策を推し進めているため、こうした供給網の構築は急務だ。

中国の内需低迷を受け、同国アパレルメーカーは規模の大小にかかわらず、成長を求めて海外市場に目を向けている。

李氏は、事業を世界に広げることが不可欠であることを数年前に認識したと話す。中国のレディースウエア市場は細分化されていて単一でシェア2%超を持つブランドがなく、成長余地が限られると判断している。

ニューヨーク市ソーホー地区にオープンしたアーバンレビボの店舗内(2月28日)

アーバンレビボの売り上げ全体に占める欧米の割合は、将来的には少なくとも30%になる可能性があると同社ではみている。

「中国は巨大市場だと思うかもしれない。しかし、野望があり、上場を計画しているなら、この市場は十分に大きいとは言えない」と李氏は発言。「今後数十年に、グローバル化した中国のアパレルブランドは増えるとわれわれは考えている」と語った。

原題:China’s Zara Tries Going Global in Hopes of Shein-Like Success(抜粋)

--取材協力:Lulu Shen.

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