(ブルームバーグ):3月第1週(3-7日)の日本株は戻りを試す見込み。春季労使交渉での高水準の賃上げ要求が予想され、景気回復への期待感から投資家心理が改善する。
6日に連合が春闘での要求集計結果を公表する。連合は今年の賃上げ目標を2024年と同水準の「5%以上」としており、賃上げのモメンタム(勢い)継続が確認できる可能性が高い。国内景気の拡大につながるとの期待が高まれば、日本株相場全体の押し上げ要因となる。5日には日本銀行の内田真一副総裁が静岡県金融経済懇談会で講演し、その後記者会見する。
引き続き米国市場の動向に左右される場面もありそうだ。3日に2月の供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数、5日に同月のISM非製造業総合景況指数が発表される。米景気への懸念が一段と強まれば米国株安を通じて日本株相場の重しになり得る。
2月4週の東証株価指数(TOPIX)は週間で2%安と続落した。トランプ米政権による対中半導体規制の強化や関税政策、エヌビディア決算を受けた米国株安が嫌気され、半導体関連を中心に売られた。

《市場関係者の見方》
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員
業績やバリュエーション面で下値は限定的で、自律反発の可能性は十分あるだろう。春闘の要求集計でしっかりした数字が確認できれば、日本株市場全体にポジティブな材料になる。米国ではサービス業購買担当者指数(PMI)などの悪化が株価調整の理由の一つになってきたため、ISMなど景況感を示すソフトデータの重要度はいつもより高い。
大和証券の柴田光浩シニアストラテジスト
日本株は米国株に比べて割安感があり、底堅く推移するだろう。賃上げが着実に進めば国内消費の改善期待につながり、日本株にはポジティブになる。足元で消費への期待感はそれほど高くなく、良い話が出た場合は好感されやすい。ソフトデータが米国景気に対するセンチメント悪化を示す中、ADP雇用統計などのハードデータが良ければ投資家の安心感につながるだろう。
--取材協力:我妻綾.
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