(ブルームバーグ):一部の世界的大企業の決算発表では、あるテーマが話題の中心となっている。それは関税だ。
ブルームバーグ・ニュースが決算会見記録を分析したところでは、関税の話題はS&P500種株価指数構成企業の電話会見で約700回取り上げられた。これは、2005年以降のデータでは過去最高で、トランプ氏が最初に関税を発動した政権1期目の18年の数字をわずかに上回る。

ホワイトハウスは、中国からの全輸入品に10%の追加関税を課すなど、積極的な保護主義政策を推進。トランプ政権は、米国の二大貿易相手国であるメキシコとカナダからの輸入品に対する25%の関税だけでなく、アルミニウムと鉄鋼にも近く関税を発動する方針だ。
今回の決算発表シーズンで企業は、アナリストからの関税関連の質問を避けることは難しいが、多くの企業は今のところ影響を深刻視していない。
米工具メーカー、スタンレー・ブラック・アンド・デッカーのドナルド・アラン最高経営責任者(CEO)は今月5日の決算会見で「われわれはトランプ政権1期目に関税を経験した」と述べ、「その時にどう対処すべきか理解したし、対応力を鍛えた」と付け加えた。
一方でより率直に影響を評価する企業もある。靴小売業のスティーブマデンは今年、値上げを計画。「リー」や「ラングラー」といったジーンズブランドを展開すコンツール・ブランズも同様の措置を検討している。また、中国のファストファッション大手のSHEIN(シーイン)などの企業は、影響を軽減するためにサプライチェーン(供給網)の調整を行っている。
スティーブマデンのエドワード・ローゼンフェルドCEOは26日の決算会見で、「目先の逆風が強いことから、25年の見通しについては慎重な姿勢だ」と明かし、「とりわけ、米国に輸入される商品に対する新たな関税と、生産を中国以外の国々に積極的に分散する取り組みが、当社収益に悪影響を及ぼすだろう」と述べた。
関税が最大の関心事となっているのはウォール街だけではない。ミシガン大学のデータによると、トランプ大統領の関税が物価を押し上げるとの懸念が大きな要因となり、2月の消費者マインド指数は低下。長期のインフレ期待は約30年ぶりの高水準に達した。
原題:Tariff Worries Surpass 2018 Levels, Dominating Earnings Season(抜粋)
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