時価総額の合計が8兆ドル(約1200兆円)を上回るマイクロソフトとアマゾン・ドット・コム、エヌビディアがトランプ米政権に対し、前政権が1月に公表した人工知能(AI)向け先端半導体の輸出規制強化策について見直しを求めた。同盟国に中国の競合企業からの入手を促すことになると警告した。

マイクロソフトのブラッド・スミス社長とアマゾンのアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は27日、イスラエルやサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などへのAI向け半導体輸出に数量制限を課す規制強化策の見直しを訴えた。 エヌビディアのジェンスン・フアンCEOも先に同様の批判を行った。

規制強化策は各国を三つのカテゴリーに分け、ティア2に分類されたイスラエルやサウジへのAI向け半導体輸出に制限を課す。「戦略的に重要な市場」への輸出が抑えられ、それらの国が先端半導体で中国に頼る恐れがあり、同国にAI技術の普及で戦略的優位を与えかねないとスミス氏はマイクロソフトのブログへの投稿で主張した。

その数時間後にジャシー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、制限を課される同盟国について、「より多くのチップが必要になる。われわれが提供しなければ、提供できる他の国にビジネスと関係を譲り渡すことになると思う。パートナーでいる方がプラスになるだろう」と指摘した。

「ブルームバーグ・テクノロジー」で語るアマゾンのアンディ・ジャシーCEO

トランプ政権は自国の半導体規制を厳格化する案を検討する一方、主要同盟国にも中国の半導体産業への規制強化を迫っている。中国の技術力を制限する前政権の取り組みを拡大・強化する意欲がうかがえる。

規制強化策が実施されれば、東南アジアから中東に至るまで、あらゆる地域のデータセンター開発に影響を及ぼすことが予想され、先端半導体メーカーの反発を買った。ただ、エヌビディアのフアン氏は、トランプ政権がより緩やかな規制を選択するとの楽観的見方を示した。

フアン氏によれば、同社の中国での売上高は規制導入前の半分に減った。同氏はCNBCとのインタビューで、中国への輸出が許可されているチップの性能は同社の最先端チップと比べると60分の1であり、華為技術(ファーウェイ)などが勢いを増していることもあって、「輸出規制が効果的かどうか判断が難しい」と語った。

マイクロソフトは、UAEなど半導体輸出制限が課される複数の国でデータセンターを運営ないし建設中だ。同社とクラウドコンピューティング事業を世界展開するアマゾンは、いずれもエヌビディアの大口顧客に名を連ねる。

原題:Microsoft, Amazon, Nvidia Urge Trump to Revise Chip Export Curbs(抜粋)

--取材協力:Mackenzie Hawkins、Caroline Hyde.

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