(ブルームバーグ):セブン&アイ・ホールディングスの創業家らによる経営陣が参加する買収(MBO)計画の話し合いが難航している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールによる買収提案への実質的な対抗策として協議を進めてきたが、最終局面で条件が折り合わない事態が起きている。関係者の1人によると、MBO実施後の会社の議決権比率や取締役会構成などを巡り、伊藤忠商事など資金の出し手と創業一族の伊藤家との間に意見の隔たりがあるという。
約9兆円に上るMBOは実現すれば国内企業として過去最大の規模だ。アクティビスト(物言う株主)の批判にさらされてきたセブンにとってはクシュタールだけでなく市場の外圧からも離れられる機会となるが、仮に破談となれば事態は振り出しに戻る。
伊藤忠の広報担当者は「何も決まったことはなく、お話することはありません」とコメントした。
MBO計画では、創業家は伊藤忠商事と連合を組んで買収主体となる特別目的子会社を設立。創業家が約5000億円、伊藤忠が1兆円超を普通株で出資し、米投資会社のアポロ・グローバル・マネジメントやKKRなどが合わせて1兆5000億円相当の優先株を拠出する方向で調整してきた。残る5兆円を銀行からの借り入れでまかなう想定だった。
MBO案を伊藤忠が断念する意向を日経新聞が先に報じていた。
セブンの丸山好道最高財務責任者(CFO)は1月、意思決定のスケジュールについて5月の株主総会が一つの目安になると述べていた。MBO路線が閉ざされた場合、セブンはクシュタールとの交渉に臨むか自社で成長する道を早期に選ぶ必要がある。
(伊藤忠のコメントを追加して更新します)
--取材協力:吉田昂.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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