S&P500種株価指数の過去2年の上昇を支えてきたハイテク大手7社「マグニフィセント・セブン」だが、2025年に入ってからは低調が目立つ。25日には昨年12月17日に付けた高値からの下落率が10%に達し、調整局面入り。この期間で時価総額約1兆5000億ドル(約223兆円)が吹き飛んだ格好だ。

アップル、エヌビディア、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、テスラの7銘柄で構成するブルームバーグ・マグニフィセント・セブン指数は25日に2.3%下落。直近高値からの下落率は調整局面入りの目安である10%を超えた。

 

最も下げがきついのは、イーロン・マスク氏が率いる電気自動車メーカーのテスラ。テスラ株はトランプ氏が勝利した昨年11月の米大統領選後には急伸したが、その後は売りが強まっている。販売不振や比亜迪(BYD)など中国勢との競争激化が背景にある。

 

S&P500種は先週に過去最高値を更新した後は下落が続く。投資家はトランプ大統領による関税の脅威が経済を弱体化させ、インフレを誘発するとの懸念を強めている。トランプ氏は24日、カナダとメキシコへの関税について、予定通り3月に発動する見通しを示した。一方で最近発表された経済指標は予想を下回り、2月の消費者信頼感指数は2021年8月以来の大幅な落ち込みを記録した。

マップシグナルズのチーフ投資ストラテジスト、アレック・ヤング氏は「成長への懸念が持ち上がっており、インフレ懸念も残っている」と指摘。「その両方が同時に懸念されることは通常ないが、それが株安の要因だ。そして関税は両方の懸念を強めている」と語った。

米株式市場でのストレスの兆候は過去4営業日で強まっている。恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は20を上回り、ハイテク銘柄の比重が高いナスダック100指数は4日間での下落率が約5%となっている。

マグニフィセント・セブンの一角で、過去2年のAI相場をリードしてきた半導体大手エヌビディアは26日の引け後に決算を発表する。投資家は高騰するエヌビディア株のバリュエーションと、人工知能(AI)への巨額投資の先行きに神経をとがらせている。最近では関税の見通しや中国製の安価なAIモデルも懸念材料だ。

USグローバル・インベスターズのトレーディング責任者、マイケル・マトウスク氏は「エヌビディアの決算を前に利益確定の売りが出ている」と指摘。決算が失望を誘う内容となれば、AI相場が勢い取り戻すのは難しいかもしれないと語った。

原題:Stock Market’s Engine Sputters in Latest Worrying Sign for Bulls(抜粋)

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